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2006.07.17

全社的な内部統制の評価を先に実施していなければ、監査人は不適正意見を表明するのか?

 こんにちは、丸山満彦です。内部統制部会から公表された「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方について」に含まれている「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準案(以下、「基準案」という。)」は、今後変更される予定があるようですね。それなら、論理的に気になるところをまとめておいたほうがよいかもしれませんね。。。基準案には「商法監査」という用語が使われているので、変更が必要とは思っていましたが・・・。どの程度変更されるかですね。

 
 さて、気になっているのは表題の件です。基準案では、
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Ⅱ.財務報告に係る内部統制の評価及び報告
3.財務報告に係る内部統制の評価の方法
(1) 経営者による内部統制評価
・・・・・
経営者は、内部統制の評価に当たって、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(以下「全社的な内部統制」という。)の評価を行った上で、その結果を踏まえて、業務プロセスに組み込まれ一体となって遂行される内部統制(以下「業務プロセスに係る内部統制」という。)を評価しなければならない。
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=====
Ⅲ.財務報告に係る内部統制の監査
4.監査人の報告
(1) 意見の表明
・・・・・
監査人は、経営者の作成した内部統制報告書が、一般に公正妥当と認められる内部統制の評価の基準に準拠し、財務報告に係る内部統制の評価について、すべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて、内部統制監査報告書により意見を表明するものとする。
=====

となっていますから、監査人は、会社が全社的な内部統制の評価を行った後に、その結果を踏まえて、業務プロセスに係る内部統制を評価するという「内部統制の評価の基準」に準拠していることを確認することになると思うのですが、そのような評価プロセスを踏んでいなければ不適正意見を述べるのでしょうか・・・

 内部統制の評価に当たって全社的な内部統制を評価した上で、業務プロセスに係る内部統制を評価するというのは、評価の質に関わる問題ではなくて、評価の効率性を上げるためであるので、それを「しなければならない」とする必要はないと思ったりもします。

 どうなんでしょうね・・・。

【参考】
●このブログ
・2006.05.12 全社的な内部統制と業務プロセスに係る内部統制の関係

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Comments

自己レスです。
この点については、

第12回内部統制部会(17.11.10)配布資料

資料1-3  「Ⅲ. 財務報告に係る内部統制の監査」への意見の概要(PDF:2,547KB)

103-109あたりに意見がでており、それに対する金融庁のコメントが参考になりますね。
特に108のコメントが直接的で
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「評価範囲」や「評価手続」の適否に意見を述べるとすると、評価プロセスについて意見を述べることになる。米国でも評価プロセスが適切かどうかを意見として述べることは想定されていない。それは米国では範囲の制約になる。
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これに対し、金融庁は
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 「経営者が決定した評価範囲」や「評価手続」が不適切な場合でも、そのこと自体は監査範囲の制約を強いるものではないものと考える。
 ダイレクト・レポーティングを行わない(経営者の評価を検証する形式の)内部統制の監査においては、経営者による一連の評価手続きが不適切な場合には、除外事項の対象として検討することになると考える。
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と回答していますね。

Posted by: 丸山満彦 | 2006.07.18 20:52

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