有効性を評価し、監査するとは・・・
こんにちは、丸山満彦です。「証券取引法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八一号)」及び「証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第八二号)」が、2005.05.12に衆議院財務金融委員会で可決されたようですので、そろそろと内部統制監査の足音が聞こえてくるような感じですね。ところで、問題は、内部統制の有効性を評価し、監査するということなのですが、有効性とは何か・・・というのが問題なんですよね・・・。そういえば、ISO/IEC 27001:2005でも、「有効性の評価」というのが新しいトピックスですね。。。
有効性とは何か・・・については、実は行政評価において議論が行われています。
行政機関の政策、施策について、単に法令等の規則に従って行っているわけではなく、支出に見合った価値のあるものかという観点から評価する必要があるのではないか・・・というところからきていますね。英国では価値のある政策を行っているかについての監査、つまり、政策の有効性についての監査(Value For Money Auditing)が会計検査院により1983年から行われています。
このVFM監査の考え方は、3E監査とも言われています。3Eは、
・経済性(Economy)、
・効率性(Efficiency)、
・有効性(Effectiveness)
をあらわす、3つの単語の頭文字からとられています。で、最後に有効性が出てきます。で有効性については、たとえば、「三重県における監査委員監査のビジョン」では次のように説明されています。
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3E監査とVFM監査
合規制や正確性とは別に、経済性(Economy)、効率性(Efficiency)、有効性(Effectiveness)の観点による監査で、頭文字をとって3E監査と言われる。
VFM監査は(バリュー・フォー・マネー:Value For Money)(金額(支出)に見合う価値)の略で、費用に見合った成果、効果があるかどうかの観点。3E監査と同義と解されることが多い。
経済性(Economy) 最少のコストで適正な量及び質の資源を獲得すること。
効率性(Efficiency) 一定の成果を最少の支出で獲得すること、また、一定の支出から最大の成果を生み出すこと。
有効性(Effectiveness) 一定の支出により期待される成果の達成度合い。
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ポイントは「期待される成果の達成度合い」ですね。したがって、期待される成果が明確でなければならないわけです。財務報告に係る内部統制についてもそうですし、ISMSの有効性評価についてもそうです。
で期待される成果はひょっとしたら、KG(主要達成目標)かもしれません。もしそうだとすれば、KGを測定する指標(KGI)を設定すれば、有効性の評価ができるかもしれませんね・・・
情報システムに置き換えて考えた場合については、COBIT4.0などを参考にするとよいのかもしれません。
財務報告に係る内部統制の場合は、「財務諸表に重要な記載誤りが存在しないように内部統制が機能していること」が達成される最終的な成果なのだろうと思います。個々の内部統制は、この最終的な成果の一部を構成するものになるのだろうと思います。
でも、まだまだ有効性の評価についての理論的な検討が必要です。。。
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