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2006.03.23

葉玉ブログ 会社法とCOSOは。。。すいません。何の関係もありません

 こんにちは、丸山満彦です。法務省民事 局付検事の葉玉匡美さんのブログ、「会社法であそぼ。」に「会社とCOSO」という話題が・・・

 
会社法であそぼ。
・2006.03.21 会社法とCOSO

葉玉さんへの質問
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「会社法施行規則100条の「損失の危険の管理に関する規程その他の体制」とは、たとえばCOSOの三つの目的との関連では、どのような位置づけになるのでしょうか?
企業会計審議会による追加目的「資産の保全」の他に、「リスク管理」も目的として位置づけておられるのでしょうか?」
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葉玉さんの回答
=====
「会社は、会社法やCOSOについて、それぞれの関係を考えるよりも、それぞれが要求しているものが別だと思って、それぞれの趣旨を理解して、対応しましょう。
 ただし、みんな似たようなことを要求しているので、内部統制システムをそれぞれに併せて作ってみたら、結果的に同じだったということはあるでしょう」
という感じでしょうか。
=====

その他の発言で気になったところ・・・
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 このCOSOフレームワークは、読むのに骨が折れるしろものなので、不謹慎な私は
「経営者が、これを読んで理解している暇があったら、実際に現場を回って問題点を探した方がいいのではないか?」
と思ってしまいがちになります(笑)。
=====
 ただし、いざ
「それらと、会社法施行規則の関係はどうなっているか」
と問われれば
 「すいません。何の関係もありません」
と断言せざるをえません。
=====
 COSOフレームワークは、なんとなく科学的な手法のように見えますが、私は、昔から言い古されてきたことをまとめた、いわば「アメリカのおばあちゃんの知恵袋」みたいなものだと思っています。日本の会社の中には、すでに沢山の内部統制システムが存在するはずですし、日本のおばあちゃんには、日本の風土にあった知恵があるのですから、細部を意識し過ぎると、かえって本質を見失います。
=====
企業の身の丈と実情にあった内部統制システムを作ることが重要であり、COSOフレームワークは、会社法の内部統制システムを作るときの参考資料程度のものだと思っていただいた方がいいと思います。
=====

内部統制は会社法とCOSOは何の関係もないという言っておりますが、私はその真意は、
「COSOや内部統制部会などから提案されている特定の内部統制のフレームワークをつくることを会社法では要求していない」
ということだと理解しています。

およそ普通の組織では、業務の有効性及び効率性(含む資産の保全)、財務報告の信頼性、法令の遵守は求められるのでそれを達成できるようにする仕組みとしての内部統制は株式会社でも当然に求められ、その際にCOSOのフレームワークや内部統制部会案の基準は参考になるので活用すればよいということでしょうね。

日本人は知識を一定のフレームワークとして体系化するのが苦手のような気がしています。ある目的のために必要な知識、経験、勘を整理し、ブレークダウンして体系化することをあまりしないように思います。特に、論理的な知識の体系化をしませんね。経験と勘も重要です。最後は経験と勘なんですが、最後の経験と勘にいたるまでの論理的な整理については意識があまり行かずにいきなり経験と勘になってしまう。
おばあちゃんの知恵袋にある原則、原理及び、それを理解しやすいように体系化することが必要なんでしょうね。でないと、常におばあちゃんに聞かなくてはならない。おばあちゃんに聞くことは、最後の最後の部分だけにしないと、おばあちゃんもしんどいでしょうね。

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葉玉さんは、現役の法務省民事 局付検事で、ブログを書いていますが、ブログを書くにあたっての考え方について、
・2006.03.15 ブログ炎上について
に書いていますね。

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Comments

「会社法とCOSOは何の関係もない」

やっぱりプロとしては、ミスリードはいっちゃいけないのでは。受けを狙っても、誤りは誤りです。(確かにCOSOが洗練されていないよねというのは、同意しますけどね)

もっと本質をついたところで、受けるというのが才能のある人のやるべきことだろうと。

Posted by: ミスターIT | 2006.03.23 at 23:30

ミスターITさん、コメントありがとうございます。

内部統制が適正に整備されていることを、利害関係者に説明可能なようにすることが重要ということで、論理的な説明ができないと裁判になったときに困るのではないかと思っております。
 そういうときに一定の論理的な枠組みに従って説明できると楽だと思うんです。

Posted by: 丸山満彦 | 2006.03.24 at 10:19

株主から委託された会社資産の増大という目標のために

1 コンプライアンスをしながら
2 資産の効率的な運用を図り
3 そして、その運用の成績を透明に説明をしながら

適時に開示して

社会全体の効率的な資産運用を図るということになっているわけですから、会社法が無関係なはずがありません。

そして、その仕組みをマネジメント的に光を当てているのか、COSOでしょう。

内部コントロールを実現するのにマネジメント的な視点がいらないで済むと思っているとしたら、悲しいことです。

Posted by: ミスターIT | 2006.03.24 at 14:27

ミスターITさん、コメントありがとうございます。

おっしゃるとおりで悲しいことです。

Posted by: 丸山満彦 | 2006.03.24 at 15:38

 私は、起草担当者がブログで私見を述べるのは役人の道に反しているように思います。
 役人の道をどう考えるか、人それぞれ意見のあるところではありましょうが。

 大人の対応をと冒頭で断ってはいるようですが、ただのエクスキューズではありませんか。

 各担当者は、法施行間近で、わらをもつかむ向きもあるだけに、いかがなものかと思います。

 もちろんありがたいという意見もあるでしょうが、私はなにか釈然としないものを感じます。
 ちょっと狭量なんでしょうか。

 語るなら5年、10年後に思い出話しとして述べるか、なかばオフィシャルな逐条解説を書かれるか、啓発セミナー程度に止め、お役から離れた起草担当者は黙して語らずということでいいのではないでしょうか。

 公式見解ではないが起草担当者と宣言して私見を述べる、そこには事実上の影響力が生じ得るわけで、しかも、内容に疑義が生じても役所は無関係というしろものです。なんとも厄介ではありませんか。

Posted by: 鈴木正朝 | 2006.03.25 at 01:09

鈴木先生、コメントありがとうございます。

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 公式見解ではないが起草担当者と宣言して私見を述べる、そこには事実上の影響力が生じ得るわけで、しかも、内容に疑義が生じても役所は無関係というしろものです。なんとも厄介ではありませんか。
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は、確かにそうですね。

私見なのですから、後で公式見解がでてもやはりそこは私見ということで訂正はしないのでしょうね・・・。

私見といいながら起草担当者が個人的に書籍を出すのとはどう違うのだろう。同じなんでしょうね・・・

別の審議会の部会では、原型も見えないガイドについての本を書いている人がいるという噂もあるようです。

Posted by: 丸山満彦 | 2006.03.25 at 10:50

この議論に乗り遅れたのは痛恨です・・・

せっかく丸山先生が上品にまとめようとされていることろに、狼の群れが襲いかかっている感がありますが、私も最後尾のやせ狼として一言言わせて頂きましょう。

今回の体制決定義務は、従来の委員会設置会社に関する体制決定義務を踏襲するものです。若干決定事項が増えているとはいえ、実質的にはほぼ同じであり、委員会設置会社とそれ以外のものの平仄を合わせる法改正であったとも説明されています。

委員会設置会社の改正の時には、会社法の内部統制について、COSOベースの説明がなされていたわけです。

それが、現代化要綱を手渡されて、ちょいちょいと決定すべき事項を追加したら、不思議なことにCOSOとは何の関係もなくなってしまうという・・・

旧法においても、新会社法においても、「内部統制」という用語は法文上一言もでてきません。
それを
「これは、内部統制に関する規定です」
と説明しているのは、立法担当官の方であって、我々が勝手に解釈しているわけではありません。

いやしくも天の下、内部統制に二つなく・・・
とはおよそ言いがたい状況ですが、それでも世間で「内部統制」といえばCOSOのそれです。少なくともCOSOの遺伝子を受け継いでいます。COSOが分かりにくいもの、いただけないものであることは、今や否定できませんが、事実としてそうです。

で、
「内部統制に関する規定なんですよ」
と説明しつつも
「COSOとは何の関係もありません」
とは一体全体どういうことなのか、と。
だったら、そもそも
「内部統制に関する規定です」
というのはどういう説明だったのか・・・
「内部統制に関する規定ですが、ここで私が内部統制といっているのは、世間一般のそれとは違って、まだ皆さんが見たこともないようなものです」
というべきではなかったか・・・

そして何よりも、法務省が考案された全く新たな「日本版内部統制」(そんなことは現代化要綱には書いてないけど)は、一体どのようなものなのか・・・

といった疑問が次々と出てくるのです。

Posted by: 森亮二 | 2006.04.19 at 23:31

森先生、コメントありがとうございます。
葉玉先生のこのコメントと・・・
八田先生の、発言の関係はどうなるんだろう・・・
という疑問がわいてきます。
【このブログ】
2006.04.10
八田先生の本 これだけは知っておきたい内部統制の考え方と実務

では、
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<資産の保全>はCOSOでは明示されていない日本独自に追加された目的です。わが国独自の監査役制度に対応せる、つまり監査役の役割と内部統制とのかかわり方をより明確に示すために、この目的を追加しました。
=====
とか、、、、
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監査役の役割を明示化する-COSOの国内化
 国内化、すなわち日本に合うかたちでローカライズすると言った点においては、内部統制の目的をひとつ増やし、第四目的の<資産の保全>を加えました。
 わが国では従来より株式会社のなかの常設必置期間として監査役制度があります。委員会等設置会社の場合は監査委員会となりますが、商法の規定により監査役には業務調査権と財産調査権があります。このうち、財務調査権というのは、まさしく企業財産を保全することです。
=====
とか、
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監査役は内部統制の番人
(前略)
 監査役の役割は、商法第274条の規定で「取締役の職務の執行を監査する」とあります。これは、経営トップの職務の執行、すなわち、すべての業務内容について独立的な立場で株主の代表という観点からこれを吟味しなさいということです。こうした職務を果たすためにも、監査役は、経営管理が機能しているかどうかを見る必要があります。このことは、経営者の意向にのっとった健全な内部統制が張りめぐらされ、機能しているかどうかを吟味しなさいということと同じだと思います。
 ですから、企業内にあっては監査役こそが、内部統制議論の推進役でなければなりません。
=====
とか・・・

Posted by: 丸山満彦 | 2006.04.22 at 16:21

葉玉匡美というひとは私と同じ東京大学法学部を卒業しているようですが、あまりレベルが高い方とはおもえません。もう少しお役人さんのレベルが向上しないと困るのは民間なんですよね。(笑)

Posted by: 森亮二 | 2006.07.28 at 11:12

森先生、コメントありがとうございます。
そうですね・・・

Posted by: 丸山満彦 | 2006.08.01 at 07:09

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