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2006.01.03

システムダウン

 こんにちは、丸山満彦です。JALのシステムが1時間ほどダウンし、10便に影響がでたようですが、手作業でなんとかなったようですね。

 
 手作業でできる訓練をしておくというのが重要なときがあります。本当に止まって困るようなシステムは、手作業バックアップできるように、マニュアルを用意したり、要員の訓練をしたり、日ごろから準備をしておく必要がありますね。
 金融機関では定期的に練習してますよね・・・。

■日経新聞
・2006.01.03 日航の運航システムが約1時間ダウン・10便に遅れ

■朝日新聞
・2006.01.03 日本航空で運航システム障害 10便遅れ2200人影響

■読売新聞
・2006.01.03 日航の運航関連システムがダウン、10便に遅れ

■毎日新聞
・2006.01.03 JAL:システム障害で10便遅れる

■産経新聞
・2006.01.03 日航のシステムがダウン 約1時間、10便に遅れ

 報道によると、運航系業務支援システムJALFOS(JAL Flight Operation System)に問題があったようですね。

■JALFOSの検索
GOOGLEでJALFOSを検索
Yahoo!でJALFOSを検索
GooでJALFOSを検索
ExciteでJALFOSを検索

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Comments

丸山 様

夏井です。

世界的に見ると,航空会社のコンピュータシステムのシステムダウンの例は過去にいくつかあるようですね。とは言っても,海外の航空会社では運行時刻が正確ではなく,私自身も乗り継ぎ便に間に合わないでフランクフルト空港に取り残されてしまった経験を持っていますので,システムトラブルによる影響がそれほど大きくないと言える場合もあるかもしれませんが・・・(笑)

冗談はさておき,航空会社のコンピュータシステムは,自動予約・自動発券などのシステムだけで成立しているわけではなく,クレジット会社や関連会社のシステムとも連動しており,また,マイレージサービスのシステムとも連動していたりします。さらには,実際の運行状況を示すためのシステムは航空管制システムと関連していたりすることもあります。そのため,どこか一部に「想定外」のイベントが発生すると,たちまち全体に影響を及ぼしてしまうことがあるようです。私自身も某航空社のシステムの不具合(おそらく最初から存在していたバグ)のためにえらい目にあったことがあります。

なにごとそうなんですけれど,システム設計をする人は,苦労なく育ったおぼっちゃんやおじょうちゃんでは駄目ですね。野人に近い動物的直感をもち,かつ,粗忽なユーザや犯罪者の心理まで想定できてしまうようなすぐれた想像力をもった人がシステム設計に関与していないと,たちまち破綻を生じてしまいます。

最近,あちこちで頻発している大規模なシステムトラブルの例を見るとその感を強くします。

また,マニュアル操作ができるように並存させておくこともとても大事なことですね。このことは,以前,高速道路のトイレか何かの例で述べたとおりです。全部電動化されたトイレだと停電したとたんにえらいことになってしまいます。手動で水を流せるようにしておかないと絶対に駄目です。

同じようなことは何についても言えるでしょう。

かつて某大学の経営の先生方が偉そうに吹聴していたような「IT化によって人件費を削減できる」という図式は完全に嘘ですね。適法・安全にビジネスを遂行しようとする限り,業務の根幹部分をIT化したとしても,マニュアル操作しながら業務を遂行できるようにするための人員を常に確保しておかなければならないので,人件費の大幅削減には結びつきません。彼らは「経営の専門家」と自称しながら,経営倫理の根本である「適法な経営」というものを全く知らなかったのでしょう。

また,これも常に強調していることなのですが,IT企業が成功すれば顧客の数が理論的に使用可能な回線数だけ増加する可能性がありますので,顧客対応やクレーム処理や在庫管理などのためにとてつもない数の人員を確保しなければならない人件費が発生することになります。人間相手の商売である以上,業務それ自体を完全に自動化することは最初から不可能なわけで,そのことを忘れてしまったら当然破綻するに決まっていますね。

というわけで,単純馬鹿な「IT信仰」のようなものはそろそろ卒業すべき時期に来ているのだと思います。

Posted by: 夏井高人 | 2006.01.04 08:13

夏井先生、コメントありがとうございます。
私も海外で乗り継げなくて次の便にまわされたことがあります。次の便に空きがあって、良かった・・・と思いました。

さて、
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「IT化によって人件費を削減できる」という図式は完全に嘘ですね。
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IT化をしても、ITで置き換えた作業に携わっていた人が残っている限り人件費は削減されませんので、置き換えられた人が、もらう給料以上の別の仕事ができるか、クビにするかと言うことをしないとだめであるということもあると思います。
 さらに、安全に係る部分は人件費を減らすこと自体が難しかったりするんですよね。

 自治体でのIT化って昔から疑問なんですよね。IT化してもヒトが減らないから、IT化の費用だけが増加するんです。で、IT化でいらなくなったヒトは何をするかということで、仕事を作り出しちゃうわけです。

 IT化で人件費削減というのは、単純作業を人手でやっていたところではなりたつけどそうでもないところでは、そんなにたいした効果がないのでは・・・と思っているんです。


=====
単純馬鹿な「IT信仰」のようなものはそろそろ卒業すべき時期に来ているのだと思います。
=====
そうですね。売る側がそういう売り方をしていますよね・・・。買う側はもう少しまともなような気がしますが・・・。

IT信仰しているIT企業が経営的に苦しかったりしているのを見れば明らかなんだろうとは思うんですけどね・・・

Posted by: 丸山満彦 | 2006.01.04 14:19

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