« 金融庁 財務報告に係る内部統制の評価及び監査基準(案) 12.08部会速報 | Main | 経済産業省 パブコメ 「電子商取引等に関する準則(改定案)」 »

2005.12.09

数値入力ミス

 こんにちは、丸山満彦です。みずほ証券が単価と数量の入力をミスするという事件が起こりましたが、こういうミスは起こりやすいですね。こういう場合、イレギュラーな処理をおこなおうとするとシステム的にチェックがかかるようになっていますね。
 しかし、それを人間が無視してしまう。


 オンラインコンピュータでの入力誤りは、大きな影響がありますね。そういえば以前、198,000円で売るべきパソコンを19,800円と誤ってウェブページ上に表示し、結局この値段で販売しなければならないという事件が起こったこともありますね。

コンピュータ入力する場合には、 
・同じ数字を2回入力させ、誤りが起こらないようにしたり、
・一定のルール(例えば、100~1000までとか、4桁の数字のみとか)にあった数字しか入力できないようにしたり、
・一定のルールから外れる数字が入力された場合は警告画面を出したり、
バッチ処理の場合は、
・入力値を印刷し、目検したり、
いろいろな方法があります。
 証券取引のように、一刻を争わなければならないと思ってしまう数値入力を、間違いなくするというのは難しいですね。今回は、異常取引が入力された場合に警告が発せられるようになっていたようですが、それを人が無視してしまう。
●なぜ、無視してしまったのか?というところに踏み込む必要があるかもしれませんね。

 今回の場合は、東証のシステム側で売買を取り消すこともできたようですが、東証のシステムの問題か(みずほ側の説明)、取り消し手続のミス(東証側の説明)のため、できなかったようです。

 この手のミスをまったく発生しないようにすることは無理ですね。
●どの程度のミスなら社会的にゆるされるのか・・・。

 
■日経新聞
・2005.12.09 みずほ証券、新規上場株売買で損失270億円・8日時点

■朝日新聞
・2005.12.09 みずほ証券、誤まって大量の売り注文 株式市場は混乱

■読売新聞
・2005.12.09 みずほ証券発注ミス、270億円損失…市場は大混乱

■毎日新聞
・2005.12.09 みずほ証券:ジェイコム株誤発注 損失1千億円にも

■産経新聞
・2005.12.09 ジェイコム株の取引停止 東証、市場の混乱回避

■東京新聞
・2005.12.09 ジェイコム株の取引停止 東証、市場の混乱回避 みずほの大量注文ミス




このブログの中の意見は私見であり、所属・関係する組織の意見ではないことをご了承ください。

|

« 金融庁 財務報告に係る内部統制の評価及び監査基準(案) 12.08部会速報 | Main | 経済産業省 パブコメ 「電子商取引等に関する準則(改定案)」 »

Comments

会社は違いますが、この手のミスで問題が報じられたのはこれで二回目です。
これは株価と取引株の数量が大きく違うことと発行株式数を超えての注文であることが問題を大きくしているだけで、実は、小規模なものはもっと潜在的にあるかもしれません(1万円千株とかなど)。あくまで憶測ですが。
問題が小さいときにきちんとしておけばというのは、部外者の感想にすぎないのでしょうか。

Posted by: 石井 | 2005.12.09 12:39

丸山 様

夏井です。

電車で移動中に駅の売店の前をとおりかかったら、かなりどぎつい内容の見出しで夕刊新聞が売られていました。

かなりすごい結果が発生してしまっているようですね。

まずしなければならないことは、次のとおりです。

1:誤入力をした担当者を常時監視の下に置いて、自殺や逃走等の防止をはかること。

2:東証のシステムが悪いのか取り消し手続のミスなのかを判定するために関連する証拠を正確に保全すること。

3:担当者が警告を無視して操作できないように、警告が出た場合には人間の判断によるマニュアル操作での取引を一切禁止することが妥当かどうかを検討すること。

4:取引担当者の資質・能力・注意力・判断力等に関するチェック体制を根本から見直すこと。

5:今回のような異常な取引がコンピュータによって実施された場合に、取引を無効または不成立とすることができるような法制を整備すること。

Posted by: 夏井高人 | 2005.12.09 15:25

取消の失敗ですが、こんな事情だったとのことです。

「1円」で出した売り注文の価格が
ストップ安となっていた市場価格「57万2000円」
に自動更新されていたので、
取り消し注文は「57万2000円」で出さなければならなかった。
ところが、みずほ側がそれに気づかず、「1円」のまま取り消し注文を出したので、
取り消しが効かなかった。

このレベルで操作できないというのでは「止めてしまえ」としか言いようがないです。

Posted by: 酔うぞ | 2005.12.09 16:07

石井さん、コメントありがとうございます。
 俗にハインリッヒの法則と言われていることですね。法則というか、確率的な現象というのかはよくわかりませんが、大きな事故がおこる前には小さな事故がおこっているのでしょう。
 しかし、これを単なる人間の不注意による事故と片付けてしまうのではなく、不注意が生じた原因、その不注意が事故につながった原因を明らかにし、再発防止のためにすべきことを論理的に導かないとだめなんでしょうね。


夏井先生、コメントありがとうございます。1.はなかなか気づかないことですが、重要なことですね。本人の不注意にも責任はあるのですが、構造的な問題もあるので、本人が全ての責任を負うことはないと思うんです。それを自分ひとりで背負って、責任を感じて自殺をするというのは気の毒すぎます。
大きな事件がおきたときは、原因追求に最大限協力し、同様の事件の再発防止に寄与することにより、本人の責任が軽減されるような制度が必要かも知れませんね。


酔うぞさん、コメントありがとうございます。
 なるほです。めったに利用しない緊急の操作は、とっさの際に正しく操作できないのだと思います。時々訓練をする必要があるかもしれません。失敗を許さない組織では、失敗はそもそも起こらない前提で様々なことを考えてしまうので、万が一の場合に対応できず、被害を拡大することが良くあります。
 いざと言う場合の対応を普段から訓練しておくことが重要なんでしょうね。

Posted by: 丸山満彦 | 2005.12.10 00:11

同種の事件としてゴールドマン・サックス証券についての事件が、2001年にありました。
http://www.fsa.go.jp/news/newsj/syouken/f-20010627-3.html

法的には錯誤無効として、押し切ったのですけど、今回のは、さらに規模や決済の問題等で押し切れなかったというものでのでしょうね。

ちなみに当時は、高橋弁護士が2001年の湯沢のナイトセッションで、きちんとこの問題にふれています。ちゃんと事件から学ばないと大変なことになるんですよ。>関係者

Posted by: ミスターIT | 2005.12.10 00:18

丸山 様

夏井です。

1についてですが,本人のためだけではないです。

あくまでも机上の理屈ですが,今回の件は犯罪であるかもしれないですから,その立証のために最も重要な証拠である本人を確保する必要もあります。例えば,問題となった株に対して買注文を出した者と担当者とfが実は最初から共謀しており,間違ったフリをして入力をし,かつ,取り消しの指示もわざと間違ったというようなストーリーも絶対にあり得ないわけではないです。要するに,みずほ証券がハメられたというパターンですね。

想像するとほかにも色んなストーリーを想定することが可能ですが,どっちにしても本人を確保できていないと,すべて闇の中に葬り去られてしまいますね。

Posted by: 夏井高人 | 2005.12.10 07:28

ミスターITさん、コメントありがとうございます。
ちゃんと学ばないとね・・・。ゴールドマン・サックス証券の件と今回の件の違いなんかも研究されるんでしょう?(笑)

夏井先生、コメントありがとうございます。
1.の件ですが、そうですね。何が起こったのかという事実を明らかにする必要がありますから。誰のためというか、事実を明らかにするための証人(証拠)の保全が必要ということですね・・・

闇の中に葬り去れてしまわないように、事実関係を明らかにすることが重要なことだと思います。
法律的に罪があるかどうか?と言う問題と、事実がどうで、今回の事件にどのような因果関係の中でつながっていったのか?という問題とを分けて考えられないかなぁ・・・と思うんですね。
 法律的に問題がない(例えば、起訴できないなど)ということがみえた段階で、原因追求を終了してしまうのでなく、事故は事故として原因追求をちゃんとする。
 法律的な責任を恐れて、事実関係を隠蔽するということを防ぐためのなんらかの仕組みをつくれないかなぁ・・・と、思っているわけです。


Posted by: 丸山満彦 | 2005.12.10 10:09

トピとは全く関係ありませんが、2001年の湯沢でどのような衣装を高橋弁護士がお召しになったのか知りたいです♪

Posted by: koneko04 | 2005.12.10 12:02

わたしは、どちらかと言うと「資格者が扱っていたのか?」といったレベルの問題ではないかと思います。

基本的に金融機関では業務の執行者には資格が必要だと思うのですが、今回は注文はしたが取り消さない、というのが事実で「取消操作について資格を有していたのか?」という割と単純な問題に落ち着くように思うわけです。

なぜ取消が出来なかったのか?は、1円で注文したからストップ安に置き換えられていたことを知らないで「1円で取り消そうとしたから」なのです。

そもそも取消は基本的に自分が入力するつもりが無かったデータを取り消すものですから、東証にどんなデータが渡ったのかを見て操作するのが当然です。
それを「1円で送ったのだから1円」ではどんな間違えも訂正出来ません。
このような操作しかできない人たちしか居なかったという方が問題でこれは「資格の問題じゃないか?」と思うに至りました。

Posted by: 酔うぞ | 2005.12.10 12:05

酔うぞさん、コメントありがとうございます。
落合さんのブログ経由で以下のサイトを知りました。
-その1(なんだったのか)-
http://ameblo.jp/nikkeiyokyom/entry-10006915376.html

-その2(で、どうなったのか)-
http://ameblo.jp/nikkeiyokyom/entry-10006920298.html#c10011253104

Posted by: 丸山満彦 | 2005.12.10 16:01

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 数値入力ミス:

« 金融庁 財務報告に係る内部統制の評価及び監査基準(案) 12.08部会速報 | Main | 経済産業省 パブコメ 「電子商取引等に関する準則(改定案)」 »