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2005.12.08

本のご紹介 失敗の本質 日本軍の組織論的研究

 こんにちは、丸山満彦です。1941年の今日、12月8日は日本海軍が真珠湾の米国海軍の戦艦を攻撃した日ですね。日本軍の敗戦について組織論の観点からまとめた本があります。20年以上も前の本ですが、興味深い本です。

 
失敗の本質 日本軍の組織論的研究
中公文庫又はダイヤモンド社
戸部 良一 (著), 寺本 義也 (著), 鎌田 伸一 (著), 杉之尾 孝生 (著), 村井 友秀 (著), 野中 郁次郎 (著)

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以上です。

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Comments

「知識創造企業」の野中 郁次郎先生が、こんな本を書いていたとは知りませんでした。

失敗に学ばないと、同じ過ちを繰り返すという当たり前のことなのに、人は、成功の書を読みたがるよね。

他人の best practice なんて、ほとんどの場合役立たない。むしろ、変な先入観を植え付けられてマイナスとなることの方が多い。
best practice は、自分の practice の後に、答え合わせとして読むのがよいはず。
自分に practice のないことについては、worst practice の方が学ぶべきことは多いのにね~。

Posted by: 佐藤慶浩 | 2005.12.08 18:41

佐藤さん、コメントありがとうございます。この本は、ある会社のコンプライアンスを強化するためのプロジェクトに参加する前に上司から進められたものです。

日本軍・米軍の比較を通じて、日本軍がなぜ戦争に負けたのか・・・を組織論の面から検討しています。組織学習の重要性など説明されています。

非常に参考になります。

Posted by: 丸山満彦 | 2005.12.09 07:46

丸山 様

夏井です。

軍隊を参考にして組織を考える場合には,ほかにも学ぶべきことがたくさんありますね。

日本軍の場合,護衛のない輸送船団が常に航空機による攻撃にさらされ,なけなしの兵站を運搬できず,若くして学徒出陣した兵士の大半が1発の銃弾を発射することもなく船もろとも海に沈められてしまったということがありました。

日本では,兵站というと調達のことしか考えないことが圧倒的に多いのですが,それは机上の学問に過ぎません。調達した物資等を最少の損耗率で運搬することのほうがずっと重要なことです(大量の物資等を確保しても攻撃によりその全部が破壊されたとすれば,兵站を全く確保しなかったのと同じことになるだけではなく,同時に将来も兵站を確保するための手段となるべき運搬手段等を現時点で失うことにもなる。)。

この損耗率を最少化するという仕事の中には横領などの犯罪行為の防止も含まれます。

過去の歴史上の事実としては,汚職(疑獄事件)も含め,横領や背任などに該当する行為がかなりあったようですし,戦後の混乱期には「横流し」のような行為がかなり多数見られたようです。現在の各国の軍隊の中にももちろんそのような犯罪行為が存在しているでしょう。

対応策としては,軍隊であれば軍法会議で裁判をした上で銃殺ということになるのですが,ビジネスの場面ではそういうわけにいかないですね。

でも,横領や背任を防止するだけでも兵站の損耗率をかなり低下させることができるはずです。

そのようにして,兵站をしっかり確保していなければ,実際には軍隊が戦闘力を維持することなどできません。このことは,ビジネスでも全く同じことですね。

Posted by: 夏井高人 | 2005.12.09 10:52

夏井先生、コメントありがとうございます。
軍というのは、命をかけた真剣勝負の場ですから、組織論的なことを考えるには格好の題材だと思っています。特に失敗から学ぶということについては、非常によい題材だと思います。
 内部統制の観点からも、この本、非常に参考になります。兵站の話も書いています。

Posted by: 丸山満彦 | 2005.12.09 12:01

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