親会社の監査役と子会社の監査役の関係
こんにちは、丸山満彦です。内部統制関係の仕事が多くなってきています。以前からもやもやしていた問題についてずーっとふたをしてそっと棚にしまっていたのですが、そろそろ棚からおろして整理しなくてはならない時期にきているようです。
そのうちのひとつは、グループ企業のガバナンスの有り方を考えた時に親会社の監査役と子会社の監査役の関係はどのように考えたらよいのであろうか・・・ということです。
子会社の株主は親会社です(当たり前ですが)。親会社は株主ですから子会社のガバナンスをどのようにすることもできます。例えば、子会社の取締役を誰にするのか・・・とか・・・。当然、子会社の監査役も親会社が決めることができます。ということは、子会社の監査役は親会社の執行の一部になりますね。ということは、子会社の監査役は親会社からみると当然に監査をする対象(監査役は業務監査も行うという立場になりますが・・・)のほうになるのではと思っています。
いろいろと考えてみると、
・親会社の監査役
・100%子会社の監査役
・100%以外子会社の監査役
・親会社の内部監査人
・100%子会社の内部監査人
・100%以外子会社の内部監査人
にわけてそれぞれの関係を整理しないといけないかなぁ・・・と思っています。(100%子会社とそれ以外の子会社でわける必要が無いかもしれませんが、必要があるかもしれないので・・・)。
直感では、親会社の監査役と子会社の監査役は違う立場にある。子会社の監査役の行為は親会社の内部監査人の監査対象となる。
監査役制度というのは、グループ経営をするときに難しい制度かもしれません(この点についてはもう少し検討する必要ありですが・・・)。
鳥羽先生は商法上に規定されているガバナンスの機能として、執行、監督、監査があるとおっしゃっています。
監査役設置会社
・執行=取締役
・監督=取締役
・監査=監査役
委員会設置会社
・執行=執行役
・監督=取締役
・監査=取締役(監査委員会委員)
このブログの中の意見は私見であり、所属・関係する組織の意見ではないことをご了承ください。
Comments
このテーマについてはアタシも非常に高い関心を寄せています。
特にSOX法のコンプライアンスの際の302条が子会社や孫会社にどのような影響を与えるのか気になっています。
BIG4のサイトをちらちらと見ているのですが、その辺りについて触れているものが見当たりません。
もしネットのどこかで参考になる資料がありましたら教えてください☆ 取り合えず、アタシは下記のリンクにある資料をダウンロードして読んでみます。
http://www.sec.gov/rules/proposed/s74002/card941503.pdf#search='sox%20302'
Posted by: koneko04 | 2005.11.26 12:59
丸山 様
夏井です。
理屈を書くと面倒なので全部省略しますが,子会社であっても別法人として独立した法人格を持っているので,そこらへんをわきまえた監査が必要だという結論にならざるを得ないですね。
また,「連結で決算する」ということは「馴れ合いを許す」ということと同じことではないので,机上の理屈としては,かなり面倒な法的状況が存在します。
米国の例を見ると,そこらへんをうまくやっている事例が多いようなので参考になりますね。
Posted by: 夏井高人 | 2005.11.27 00:28
koneko04さん、コメントありがとうございます。
有益なリンクありがとうございます。私も何か面白いのがあればご紹介したいと思います。
Posted by: 丸山満彦 | 2005.11.27 09:40
夏井先生、コメントありがとうございます。
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理屈を書くと面倒なので全部省略しますが、・・・
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やられた(笑)。
直感でいうと、
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子会社の監査役の行為は親会社の内部監査人の監査対象となる。
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なんですが、機能的な側面から考えるそうなるように思うのですが、これを法律的な側面からどのようにすれば最適化できるかが、わからないんです。
新会社法では、様々な会社形態が認められるようになるんですね。子会社については、公開会社である子会社と公開会社ではない子会社があります。公開会社ではない子会社にに対しては様々なガバナンス構造が考えられ得るわけですが、どのようなガバナンス体制がもっともよいのか?
ある特定のガバナンス体制をとった時の制約条件とは何になるのか・・・
について、精緻な検討が必要なわけです。しかし、それがまだまだ(というか、ぜんぜん)できていません。
実は、金融庁企業会計審議会内部統制部会で検討している財務報告に係る内部統制の評価と監査において、経営者評価、監査人による監査の両方において、全社統制を評価しなければならないのですが、その際にガバナンス体制が有効であることも評価の体制になるわけですね。まぁ、知らない人は知らないので、会社に言われたことを正しいと思ってしまうわけですが、有効なガバナンス体制の維持をしつつ法的要件を合わせるのは難しいなぁ・・・と思っています。特に監査の部分は独立性が要求されるわけですから・・・。子会社の監査役の選任とか・・・監査対象からの独立とか・・・。
私も論点すら整理できていないです。
要件1:執行から独立している部分しか監査は有効に機能しない。
要件2:法律に違反してはならない。
なんですけどね・・・。
Posted by: 丸山満彦 | 2005.11.27 10:23
丸山 様
夏井です。
いろいろとお疲れ様でした。m(_ _)m
さて,理屈だけだと,親子会社について,公開会社,閉鎖会社等を全部網羅するようなマトリクスを作ってみると良いということになりそうなんですが,冷静に観察してみると,理論上では存在し得る組み合わせなんだけれども,法律上の要件と監査上の要求事項を完全に満たそうとすると,存在することのできない組み合わせがあることに気付きます。
会社をどのような組織にするかは一見自由なように見えるんですが,まともにやろうとするとできない組み合わせというものがあるんですね。おそらく,そのような組み合わせに該当するものは,存在それ自体を違法または無効として扱うしかないのだろうと思います。
これが,現時点では一番面白いナゾナゾになるんじゃないかと思います。(笑)
Posted by: 夏井高人 | 2005.11.27 17:21
夏井先生
>法律上の要件と監査上の要求事項を完全に満たそうとすると,存在することのできない組み合わせがあることに気付きます。
丸山さんには内緒で、アタシには答えを教えてください。
Posted by: koneko04 | 2005.11.28 03:31
夏井先生、koneko04さん、コメントありがとうございます。
財務報告に係る内部統制の評価及び監査制度も始まるような話ですので、グループ全体のガバナンスのあり方も全社統制として評価の対象となるはずです。
このあたり、整理をしておかねば・・・と思いますが、夏井先生の
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親子会社について,公開会社,閉鎖会社等を全部網羅するようなマトリクスを作ってみると良い
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を参考にさせてもらいます。
koneko04さん、夏井先生からこっそりおしえてもらったら、こっそり教えてください(笑)
Posted by: 丸山満彦 | 2005.11.28 16:20