« 内閣官房 重要インフラ、情報セキュリティ行動計画 | Main | コンピュータが脳とつながる »

2005.11.07

監督と執行

 こんにちは、丸山満彦です。日本型のコーポレートガバナンスを考える時、難しいなぁ・・・と思うのは、委員会設置会社以外の会社の場合の監督と執行ですね。

 
 会社は出資した株主に対して企業価値を高め、利益を獲得し、株主に配当することが要請されるわけですが、その経営は株主ではなく、株主が選任した経営のプロの取締役に委任することになりますね。委員会設置会社以外の会社の業務の執行は取締役に委任されています。と、同時に株主のために取締役が業務の執行をしていることを取締役が相互に監督することになっています。

 ところが、上場企業ですら、取締役の多くが元従業員から選任されています。経営の執行ということでは、その企業で長く業務執行の補助をしていた元従業員が望ましい面があるのは事実でしょう。ところが、監督という面を考えるとちょっとまずいように思います。なぜなら、従業員時代の上下関係をそのまま取締役の業務の執行の構造の中に持ち込まれるため、取締役相互の監督があまり機能しない恐れがあるからです。執行の面からは、代表取締役社長を頂点とするピラミッドの中で、XXXX事業部長取締役、YYYY事業部長取締役がその下に業務執行上の部下として存在する格好になります。このことは一方、業務執行上の部下であるXXXX事業部長が代表取締役社長の職務の監督ができるのか・・・という問題が生じることになると思うんですね。
 もちろん、社外取締役又は独立取締役が職務執行に当たらずに監督に専念するという構造も考えられますが、そのためには、日ごろから執行を行う取締役の業務執行状況を知るための情報にアクセスできる必要があります。監督に専念する取締役の職務の実効性を確保するためには、執行を行う取締役の業務執行状況をモニタリングできるための仕組みが不可欠だと思います。取締役会での議長を監督に専念する取締役に任せ、社長以下業務の執行を行う取締役に業務の執行状況を納得がいくまで説明させるのがよいのでは・・・いろいろな方策が考えられますね。

 株主を小ばかにしたような最近の取締役の発言を聞くにつけ、委員会設置会社以外の取締役の業務執行の監督をどのようにすれば実効性を持たせることができるのか・・・悩ましい問題だと思います。

 取締役としての適格性があるかどうかの試験制度でも作りますか・・・。

|

« 内閣官房 重要インフラ、情報セキュリティ行動計画 | Main | コンピュータが脳とつながる »

Comments

丸山 様

夏井です。

結論は簡単です。会社法を改正しましょう。

特定の会社に通算して一定年数(20年程度)を超えて在籍した者は,当該会社の取締役になることができないようにすれば良いのです。

ベテランの人は,一定年数同じ企業に勤務すれば飽きもくるので,他の会社の取締役として活躍したほうが本人の精神衛生上も国民総生産の向上のためにも非常に良い結果を生むのではないかと思います。

他方で,取締役等に就任する気など全然なく,無事安泰に定年まで勤めたい人もいるでしょうから,そのような人は定年まで従業員として一緒賢明に働けばよいです。

それぞれの人生ですから,どちらが良いなどということは決してありません。現代の教育やマスコミでは,昇進が美徳であり価値であると教え込もうとすることが多いですが,余計なお世話だと思います。それぞれが自分の所得に見合った自分自身の幸福を追求すればそれで十分だと思います。

そして,「現在の経営者のおめがねにかなった者だけを後継者にしたい」というタイプの企業は,上場をやめて「個人商店」になれば良いのです。それはそれでよいやり方だと思います。そのようなタイプの会社では,最初から株主や監査役や会計監査法人による監視とコントロールなど全く機能しないので,会社という社会組織であることそれ自体最初からがおかしいと言えばおかしいのかもしれません。

いずれにしても,銀行その他の大企業を含め,日本でこれまで「株式会社」と思われてきた組織の多くが本当は「株式会社」の実質を有するものではないので,対米関係や対欧関係もあることだし,早急に「名」と「実」とを一致させるような法改正を断行すべきでしょう。

なお,中国や韓国を含むアジア諸国の法制と企業経営の現実にも問題がないとは言えない場合があります。でも,まず日本国において「名」と「実」を合わせるということをやってからでないと,それらの国に対して何を要求しても全く説得力がないですね。


Posted by: 夏井高人 | 2005.11.07 10:53

夏井先生、コメントありがとうございます。これ以外にも問題と思うのは、法人間で株式の持ち合いをしているじゃないですか・・・。一時、時価会計もあるので、持ち株解消の動きがありましたが、最近の買収の動きで再び持ち合いが検討されると思うんですね。
 持合って資本の空洞化を招きますよね。A社が100億円をB社に出資。B社は100億円をC社に出資、C社は100億円をA社に出資・・・。ABC社あわせて300億円の資本が増えているんですが、実質は増えていないですよね。連結決算されるのであれば、資本と投資は相殺されるのですが、お互いに5%程度の持ち合いをしている場合は、資本が膨らみますよね・・・。法人の持ち合いが株主軽視の企業行動につながっているようにも思います。
 海外の投資家から見ると、日本の株式制度は明らかに不思議に観られていますよね。それって、海外に出る機会の多い、電機とか自動車関係の会社なら良くわかっているんだけど、日本で規制に守られている企業ではとんと理解されていませんね。
 情報が遮断されている状況で経営をしている人ってあぶないような気がしますね。。。
 夏井先生もおっしゃっているようにアジアの企業もそうなんですけど、少なくとも韓国は通貨危機以降、かなりましになっているように感じています。案外、日本よりましかも・・・と思っているんです。(もちろん、業種によりバラツキがあると思いますが・・・)

Posted by: 丸山満彦 | 2005.11.07 11:54

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 監督と執行:

« 内閣官房 重要インフラ、情報セキュリティ行動計画 | Main | コンピュータが脳とつながる »