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2005.10.23

自民党が金融庁に同一会計士の監査関与期間を5年にするように提言?

 こんにちは、丸山満彦です。2005.10.21に自民党「企業会計に関する小委員会」が、
・同一会計士が同一企業の監査を担当できる期間を現在の7年間から5年間に短縮する、
・会計士が粉飾などで罰せられた場合、所属する監査法人も罰する両罰規定を設ける
ことなどを盛り込んだ提言をまとめ、早急に対応するよう金融庁に求めたようですね。

 
■毎日新聞
・2005.10.21 自民:会計士の企業監査期間5年を提言 小委員会

■このブログ
・2005.10.19 自民党 実効性ある内部統制システム等に関する提言

 「会計士が粉飾などで罰せられた場合、所属する監査法人も罰する両罰規定を設ける」という話は、上記提言の中では触れられていないように思いました。
 
 しかし、罰則を設けても発動できないのであれば・・・という話もあったりしますね。




このブログの中の意見は私見であり、所属・関係する組織の意見ではないことをご了承ください。
 

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Comments

不正の根源は経営者側であり監査人を罰してたところで、実際に不正に関わる経営者の数が減るとは思えません。

Posted by: koneko04 | 2005.10.23 06:57

koneko04さん、コメントありがとうございます。
おっしゃるとおりなんですよね。監査って捜査じゃないので、基本的に経営者が適正な財務諸表を作る気がなければ、監査を引き受けないないだけなので、監査人を罰してもしかたないんですよね。経営者が適正な財務報告をするような法体系を作るほうが先だと思いますね。

Posted by: 丸山満彦 | 2005.10.24 02:17

丸山 様

夏井です。

会計監査じゃなくて情報セキュリティなんですが「調査」のことを英語では investigation と言いますね。航空機の事故調査でも investigation と言います。ところが,ご存知のとおり,犯罪捜査のことも investigation と言うんですよ。

要するに,英語の語感としては,犯罪捜査でも調査でも「手法」と「程度」は全く同じであり,ただ,それを実施する「権限」や「根拠」が裁判官の発する捜査令状に基づくものであり強制的なものであるのか,それとも,刑事訴訟法以外の法律や合意や契約などに基づくものであり完全な強制権限を有しないものであるのかの相違しかないのかもしれませんね。

日本において,Computer forensics の概念がなかなか理解されにくいことの原因のひとつとして,「そもそも捜査も調査も investigation なのだということ」,そして,それらは「権限の根拠の相違によって強制的か任意的かの差があるということ」が理解されていないということがあるかもしれません。

日本語が複雑すぎるのか,英語が簡単すぎるのかは分かりませんが,ものごとの本質を考える上で,英語の語感を理解することが非常に有用である場合がありますね。

Posted by: 夏井高人 | 2005.10.25 08:06

夏井先生、コメントありがとうございます。英語の語感を大切にすることは重要ですね。語感を理解するためには、言葉の歴史とか、使われ方を理解しないと辞書を読んでいてもなかなか難しいです。
 で、日本語になったときに、日本語の語感と英語の語感にズレが生じてなんだか変な議論が巻き起こったりします。ちょっと考えればよいのにね。
 監査の分野でも、「会計監査とISOの審査は違う。」って話をしていた人がいたんですけど、英語ではどちらもAUDITで、同じですよね。もちろん、同じAUDITでも、「目的」、実施する手続きの「程度」とかは違うのですが、「手法」は同じなんですよね。
 ところで、Computer forensics って良くわからなかったのですが、調査と捜査が同じinvestigationであることを意識するとわかってきそうな予感がしました。

Posted by: 丸山満彦 | 2005.10.26 07:26

丸山 様

夏井です。

似たような例で evidence がありますね。

犯罪捜査や裁判では,「証拠」と訳されていますが,監査や情報セキュリティなどでは「証跡」と訳されることが多いですね。

そして,カタカナ和製英語としての「エビデンス」は少し異なる意味で用いられることが多いです。しかし,英語圏でのビジネスの中で evidence が用いられる場合には,その語感は,証拠や証跡としての evidence と全く変わりがありません。

ですから,きちんと証拠法を学んだ弁護士が法務に関与していないと,通常のビジネスにおいてもかなりひどいことになってしまうんです。

言葉だけ「エビデンス」でも,証拠法上,適法であり証拠能力を有する evidence でないものは何の役にも立ちません。

Posted by: 夏井高人 | 2005.10.26 08:56

夏井先生、コメントありがとうございます。なるほど・・・。勉強になる。監査の世界でも、evidenceです。監査証拠と日本語で訳されていますが、英語では、audit evidenceです。audit evidenceは立証命題を立証するためのものですので、立証命題を立証できないようなものは、audit evidenceとはいいません。たとえば、「会社が承認した使途の範囲で、支払っている」ことを証明するために、領収書に記載されている使途、日付や金額をチェックするわけですが、その領収書の会社名が手書きのもので、会社の社印や住所などがなければ一般的には信用できませんよね。そういうのは、audit evidenceとは言いませんね。だって、証明力がないんだから、証拠とは言えないですよね。
 監査証拠論というのがあるのですが、ちょっと深いのであまり手をつけていなかったのですが、ちょっと勉強してみようかなぁ・・・。
 犯罪証拠の証拠論の本とかと比較してみると面白いかも・・・。後は時間か・・・

Posted by: 丸山満彦 | 2005.10.26 09:31

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