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2005.10.11

内部統制の内部とは

 こんにちは、丸山満彦です。株式会社における内部統制を考えた場合、内部ってどこまでだろう。

 
 株式会社を考えた場合、

・「政府機関」による行政指導

はあきらかに外部ですね。同様に、

・「消費者団体」によるチェック

なども外部統制といえると思います。

では、

(1) 「労働組合」
(2) 「株主総会」
(3) 「取締役会」
(4) 「監査役会」
(5) 「会計監査人」

はどうなのでしょうか?どれが内部でどれが外部でしょうか?


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Comments

丸山 様

こんにちは。

会計監査人が任意の契約に基づいて業務を実施する者であり、当該組織の一部を構成するものでない限り、「外部」ですね。

それ以外はすべて「内部」と理解していますが、間違いでしょうか?

Posted by: 夏井高人 | 2005.10.11 at 16:01

夏井先生、コメントありがとうございます。労働組合は外部とおもっています。監査人については、商法(会社法)の会計監査人と証券取引法による監査人とでは立場が違うのでは・・・と思ったりもしているのですが、まだ整理ができていません。

Posted by: 丸山満彦 | 2005.10.12 at 02:31

ステークホルダー(Stakeholder)の特定に仕方によっても、内部の範囲は影響されるのではないかと思います。

ぱっと見て、どれが内部か答えるとしたら、(3)の取締役(外部ではなくいわゆるSenior Managementだとしたら)以外は外部になるかな?

Posted by: koneko04 | 2005.10.13 at 15:58

丸山 様

夏井です。

海外のセキュリティ本を読んでいると,「労働組合」を「外部」と扱っているものが多いですね。これは,米国のように企業外横断組織として巨大な労働組合組織が存在し,個々の企業はそのような外部労働組合と折衝・交渉するという社会構造をもった国のことを念頭に置いて書かれています。

日本国の場合,多くの労働組合が企業内労働組合であり,労働組合法には違反するのでしょうが企業や団体などの組織の一部として事実上扱われていることが多いです。

したがって,「労働組合」を一律に「外部」として扱うのは明らかな間違いであり,その組織実体に即して「内部」か「外部」を判別すべきでしょう。そして,実際には,「内部」であることのほうが多いと思います。

ちなみに,企業内労働組合の場合,組合自治権は確保されるべきですし団体交渉権も保障されなければなりませんが,監査権限は存在しないので,セキュリティ監査や会計監査の観点からすると,当該企業の内部または外部の別を問わず,いわば「場外」にある存在だと認めざるを得ないでしょう。

Posted by: 夏井高人 | 2005.10.14 at 10:17

丸山 様

夏井です。

このナゾナゾは強烈な皮肉を含む良い設問だと思いました。

特に「株主総会」がそうです。

「株主」は企業の所有者であり,その所有者の会議体が「株主総会」ですので,「株主総会」は企業の本体そのものです。経営者は,株主の下僕として奉仕すべき存在であり,失敗すれば個人資産をもってしても株主や債権者などに対して損害賠償責任を負うべきいわば連帯保証人のような存在でもあります。
だから,株主総会において経営陣が議長をするのは基本的に間違っており,株主の互選により株主の中から選任された者が議長を担当し,経営陣は下座に座って株主の質問に対する答弁をするというのが最も適法かつ理に適ったスタイルということになります。

しかし,日本国の経営者は,自分が企業の支配者だと錯覚しており,株主配当を無視して自分の趣味だけで企業資産の配分を決めてしまうことがあるので,基本的に所有者である株主に対して背任的な経営を平気でやってしまう経営者が多数を占める国だといわざるを得ないでしょう。

いずれにしても,株主総会は,企業の最高意思決定機関であり,株主総会の議決が最も重い意味を持つものである以上,これを「外部」と考えるのは完全な間違いです。内外のどの会社法の専門家に尋ねても同じ答えしか出ません。別の答えを出すのは,法律に疎いしょうもない経営コンサルタントや経営学者か何かだけでしょうから,そのような間違った見解に耳を傾ける必要は全くありません。

というわけで,株主総会は,「内部」どころか企業の「本体」それ自体であり,株主総会の議決が絶対なのですが,日本ではそう思わない経営者やマスコミなどが圧倒的なので,法を知らない素人たちが著名企業の買収劇に右往左往しているご時勢をあざ笑うかのような強烈な皮肉になっている設問だと思いました。(笑)

Posted by: 夏井高人 | 2005.10.14 at 10:35

丸山 様

夏井です。

監査役については,その監査権限の根拠となる法令の相違に対応して,それぞれの場面で異なる法的地位を持つということはできそうですね。

しかし,監査役は,商法(会社法)によって会社の必須の組織と定められているものですから,会社組織の一部であることは疑う余地がただの一点もないと考えます。

監査役の職務は独立性が保障されなければならないことは当然です。しかし,そのような独立性は,社内で臨時に設置される調査委員会のようなものや査察委員会のようなものについても保障されるべきものであり,独立性の維持が保障されるということが内部・外部の切り分けの基準となることは法的にはあり得ないことだと思います。

また,監査役は,株主や債権者に対して損害賠償責任を負うべき場合には,明らかに,会社の組織構成員として商法(会社法)に定める義務違反を根拠に責任を負うわけですので,どう解釈してみても「外部」ということはあり得ないと考えます。

同様に,「社外取締役」及び「社外監査役」も呼称としてははなはだ不適切であり,立法過誤の一種だろうと思っています。これらの人々は,明らかに「内部」の組織構成要素として存在しているのであり,内部の組織構成要素としての権限と責任を負うものです。ですから,今後は,マスコミを含め,可能な限り「社外取締役」または「社外監査役」という呼称を用いることはやめたほうが良いと思います。このような呼称が発生した歴史的理由は,日本の企業の取締役や監査役の多くが企業内での昇進の結果として就任することが多かったからだろうと思います。でも,本来であれば,取締役や監査役は当該企業とは全く無関係の人間を外部からスカウトしてくるのが当然でありまた世界的には普通でもあるので,内部の昇進によって取締役や監査役に就任することそれ自体が異常なことだと理解すべきなんでしょう。日本国のこれまでの「会社」は,会社のような姿をしていますが,たとえその規模がどんなに大きくても,その本質は単なる「個人商店」のようなものであり,世界的には「会社」として通用しない組織であることが多いと言わざるを得ないでしょう。

ちなみに,私は,「個人商店」が悪いとは言っていません。「個人商店」は,場合によりけりではありますが「会社」よりもずっと優れたシステムだと思っています。可能であれば上場をやめて「個人商店」としての名と実とを合致させたほうがずっとノーマルだと思いますし,好ましいことだとも思います。

というわけで,会社法も早急に改正されるべきですし,呼称としての「社外取締役」または「社外監査役」を報道禁止用語に指定してしまったほうが良いのではないかと思っています。

このように,この設問の解を得るためには商法(会社法)と民法を正しく理解・解釈できる能力が必要であり,そのような能力を持たない人の意見には耳を傾ける必要など微塵もないだけではなく,そのような法的理解を基礎としない意見は有害であるか詐欺的である場合が大半であると考えています。

Posted by: 夏井高人 | 2005.10.14 at 12:20

koneko04さん、夏井先生、コメントありがとうございます。

 このなぞなぞは、本当に悩ましい問題を抱えていると思っているのですよ。なんだか、夏井先生に論点を全部あばかれたみたいですね。

(1) 労働組合は内部か外部か
 この論点が見破られるとは正直思っていなかった・・・。 
 これは内部統制の本にも書かれていませんね。まさに、私の悩みは、夏井先生のコメントどおりです。
 海外の労働組合は業種別の労働組合が多く、企業内労働組合はほとんど聞いたことがないのです。企業内労働組合って、法人格は別としてもほとんど内部なんですよね・・・。社内の労務部の一部みたいな感じ・・・。これを外部利害関係者というのか?って感じです。ほとんどCEOの指揮命令権内に取り込まれているわけですよ。人事部から、「お前、労働組合に出向しろ」って感じで・・・。
 でも、実態はそうである組合が多いかもしれないけど、自発的に労働組合に参加している人もいるので、外部かなぁ・・・と思ったんですね。でもね・・・。やっぱり迷うなぁ・・・。

(2) 株主総会
 会社の最終的意思決定機関ですから、会社そのものといえますね。そういうと、「株主総会は直接的な執行権は持っていないだろう」という話もありますが、執行権を行使させることはできる存在ですよね。株主の意に沿わなければ取締役を、自分たちの意に沿う取締役にかえることができますよね。もちろん、その取締役は自分たちの意に沿う執行者(執行役)を選ぶことになりますよね。
 ただ、COSOでは株式会社は内部統制システムに責任を負っている関係者には含まれていませんね。ただ、外部の関係者にも株主総会は書かれていません。つまりグレーな存在なんです。

(3) 取締役会
 委員会設置会社における取締役会と監査役設置会社におけるそれで性格は違うのでしょが、いずれにしても会社の内部ですね。社外取締役という話はまったくもって夏井先生の話に同感ですが、放送禁止用語に指定するのは、ちょっと行き過ぎかと・・・(笑)

(4) 監査役会
 委員会設置会社における監査委員会は会社の内部ですね。そうなると、ほぼ同じような性格の監査役会も会社の内部ですね。

(5) 会計監査人
 COSOでは外部監査人は外部の関係者の筆頭にあがっています。
 会計監査をする人には2種類あって、証券取引法に基づく会計監査をする人と会社法に基づき監査をする人がいます。ほとんどの場合は同一の人がするのですが、場合によっては、商法の会計監査人と証券取引法に基づく会計監査人が違う場合があります。
 さて、話を元に戻して、会計監査人は会社の内部か?
 日本の会社法の解釈の中では、会計監査人は会社の機関であるという意見もあるようです。となると、内部????。
 会社の機関=会社の内部というわけでもないのでしょうかね。証券取引法の監査人が外部で会社の会計監査人が内部というわけではないのでしょうから、外部でしょうね。

 会社の内部か外部か?という話と内部統制か外部統制か?という話は違うのでしょうが、ちょっと考え出すとよくわからなくなることが多い今日この頃です。

 koneko04さんはアメリカに住んでおられるようですね。なんだか、日本ではこういう変な話をしておりますが、アメリカの事情などを教えていただけると助かります♪。

Posted by: 丸山満彦 | 2005.10.14 at 19:00

丸山 様

夏井です。

法的に観て企業の内部か外部かということをきちんと理解しておかないと,詐欺的なインチキコンサルタント達の言うことと同じようなめちゃめちゃな理屈になってしまうと思います。

外部統制や外部監査という場合の外部とは英語の語感では「Third party」が最も近いものであり,要するに当該組織による直接・間接の支配・影響を受けないということが必須の要素になっています。

そして,法的に観た場合,1個の法人格主体の構成要素をなす存在(部分組織など)は,当該法人格主体による直接の支配・影響を受けます。したがって,そうした部分組織は,「外部統制」や「外部監査」という文脈の中では,常に当該組織の「内部」として扱われなければなりませんし,そのような部分組織による行動も内部的な行動であり外部者による行動ではないと理解すべきでしょう。それゆえに,こうした内部者の財産着服行為の多くが業務上横領や背任として理解されているわけで,このような理解は正しいです。経営や監査の場面だけ普通の法解釈と反対にしてよいという理屈も合理性など全く存在しません。

もちろん,そのように解すると困る人たちもたくさんいるので脱法的に嘘の解釈を流布していますが,そのような脱法的な解釈に与することは自らも違法行為に加担することと同じになるので,断じて避けるべきでしょう。

このように考えてくると,通常,詐欺的な経営コンサルタントや評論家やマスコミなどが「外部」と呼んでいるものの非常に多くが,実は「内部」であることが明らかとなりますね。

要するに,世の中,嘘つきや不勉強な人々で満ちています。

Posted by: 夏井高人 | 2005.10.15 at 09:11

夏井先生♪

不勉強の会計士のこねこです。

日本語の役職がよくわからないところもあるので、基本的なことからお勉強することにしました。

その後、何かを投稿するかどうかは考えていませんが、自分の勉強の為にもはてなのブログの方にでも参考になりそうなリンクを集めてみます。

☆ささいなことですが。。。

アタシはどちらかというと監査人になります。トーマツのリスクアドバイザリーサービス部門という所謂コンサルになります丸山さんには申し訳ないのですが、アタシもコンサルと仕事をする時には上手く丸めこめられないように気をつけています。

コンサルの場合、一回こっきりのプロジェクトを担当することが多いこともあり、仕事の成果を客観的に評価するのが難しいこともあります。だから、コンサルはアタシから見たらこのプロジェクトは失敗だと思うような類のものまで、成功したかのような態度をとる傾向があるかなと色眼鏡で見ています。

アタシは不勉強でいんちきなところがありますが、うそはつかないので、そこの所だけは訂正させていただきます。

もし上の長い長いコメントがアタシに向けられたものであったとしたらです。。。

Posted by: koneko04 | 2005.10.15 at 12:48

koneko04さん、夏井先生、コメントありがとうございます。
koneko04さん、夏井先生は、一般的なことをおっしゃっているだけで、koneko04さんに向けての発言ではないですよ・・・。いつものこと。
飲みに行けばわかるって・・・(って@アメリカでしたっけ・・・)。

 そういえば、ちょっと油断している隙にkoneko04さんのはてなブログhttp://d.hatena.ne.jp/koneko04/
も充実してきていますね・・・。

Posted by: 丸山満彦 | 2005.10.15 at 13:28

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