ISO 社会的責任 自主宣言
こんにちは、丸山満彦です。2005.10.02の日経新聞に、9月末に行われたISOでの会合の話がのっていますね。第三者認証を義務付けせずに、適合につき企業が自主宣言するということですが、自主宣言できるということであれば第三者認証もできるということになるような気がするなぁ・・・・
■日経新聞
・2005.10.02 社会的責任の新国際規格 企業が適合「自主宣言」 ISO素案判明 第三者認証不要に
国際標準化機構(ISO)が社会的責任に関する規格(ISO26000)の策定を始めたわけですが、その素案では、第三者認証は不要として、企業が自主的に規格適合を宣言できるようにするようですよ。規格は2008年に発効するらしいです。
冒頭にも書きましたが、企業が自主的に規格適合を宣言できるということは、第三者による認証や監査も可能ということです。となると・・・
(1) 規格適合につき自主宣言をする企業がでてくる
(2) 自主宣言している内容が本当に正しいことを第三者に監査してもらおうという会社もでてくる。
(3) 第三者に監査をしてもらっている企業のほうがより、社会的責任を果たしているというイメージができる。
(4) 結局、第三者による監査をうけなければならないという風潮ができる。
というストーリーも考えられますね。
このブログの中の意見は私見であり、所属・関係する組織の意見ではないことをご了承ください。
Comments
おはようございます。
先日,某商法学者と意見交換をしたのですが,ISOを含め,巷で「社会的責任」と呼ばれているものの大半が商法(会社法)上の法的義務になっているものなので,そのようなものについては「コンプライアンス」を議論することは可能にしても,「社会的責任」でごまかしてしまうことはむしろ違法な行為である疑いが強いという結論になりました。特に,取締役の「忠実義務」や「善良なる管理者としての注意義務」は法的義務でありながらかなり広範囲のものを含んでいます。その義務違反があれば,損害賠償責任を負うだけではなく,場合によっては特別背任罪等の罪で処罰されることもあるわけですから軽微な義務違反とは言えませんね。
この文脈での議論には細心の注意を払っていないと,弁護士としても公認会計士としても,義務違反に加担したとして法的責任を問われかねないです。
したがって,法律の専門家による組織以外のところが「第三者監査」をすることは非常に危険なことであり,そのようなところが行う「監査業務」なるものもまた本質的に詐欺的なものになる危険性があると考えて差し支えないでしょう。
Posted by: 夏井高人 | 2005.10.04 06:46
社会的責任ですが、私もある商法系の学者と話をした時に、
1)CSRのほとんどは、法的義務の履行を確実にすることであり、コンプライアンス又は内部統制の問題であること、
2)最終目的は、株主利益の最大化でCSRそのものがコーポレートガバナンスの問題であること、
という話になりました。
Posted by: 丸山満彦 | 2005.10.05 06:26
丸山 様
夏井です。
1はよいとして、2はCSRではないと思います。
2は、会社の所有者に対する法的責任だと思います。会社制度それ自体が所有者である株主に対する利益配当を目的とするものであり、それ以上でもそれ以下でもないからです。経営者は所有者である株主の下僕として最大限の努力をすべき法的義務があります。
むしろ、顧客に対してより満足度の高い製品やサービスを提供するための努力をすることのほうがCSRと呼ぶのに相応しいでしょう。
Posted by: 夏井高人 | 2005.10.11 16:47
夏井先生、コメントありがとうございます。
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経営者は株主の下僕として最大限の努力をすべき法的義務があります。
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というのは、当たり前なのですが、時々違った解釈をしている経営者がいるような気もします。
Posted by: 丸山満彦 | 2005.10.12 02:33