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2005.10.16

麻生大臣 「経営者は株主を選べない」

 こんにちは、丸山満彦です。麻生大臣が14日の閣議後の記者会見で楽天がTBSに経営統合を持ちかけたことに関して、「経営者は株主を選べない」と発言したようですね。さすがに国民の選挙で選ばれた政治家ですね。政治家が国民を選べないように経営者も株主を選べませんね。

 
■日経新聞
・2004.10.14 楽天のTBS経営統合申し入れ、総務相は静観を表明

 経営者という言葉ですが、麻生大臣は、監査役会設置会社の「取締役」をイメージしての発言だと思います。
※ 委員会設置会社の「取締役」と、監査役会設置会社の「取締役」というのは性格が若干異なりますね。

 企業買収の時に買収者が注意しなければならないのは、株主が経営者を選べるように、優秀な従業員も働く会社を選べるということです。
 設備を買うことを目的とした買収ならともかく、経営資源としての人材をも含めて企業価値を見出して会社を買うわけですから、買収者は優秀な人材が流出せずに、より高いパフォーマンスを発揮するようにできる優秀な経営者を送り込まなければなりませんね。

 いずれにしても、経営者は、株主の利益が最大化するように働くプロですから、常に自分も株主のことを考える必要があるし、反対に、常に株主に見られているという意識も必要ですね。




このブログの中の意見は私見であり、所属・関係する組織の意見ではないことをご了承ください。

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Comments

丸山 様

夏井です。

大臣の発言は極めて正しいですね。

上場すれば,「個人商店」ではなくなります。

理想的な「会社」とは,大株主が自分の奴隷となってどんどん金を稼いでくれる経営者を当該会社に送り込み,自分の配当利益と株価の上昇を極限まで推し進める存在です。

ですから,私は,「個人商店」のほうが優れたシステムである場合が多いと主張しているわけです。

日本の税制は,「個人商店」や「個人事業者」にとって非常に厳しいもので(←普通のサラリーマンには全く想像できないどころか逆のイメージが横行していると思いますが・・・),まともなことをやっていては絶対に黒字転換などできるはずがなく,常に銀行と税務署の奴隷として働き続けなければならないような惨めな存在です。でも,日本的な経営で成功するには「個人商店」であるしかないんですよ。ここらへんに日本国政府のこれまでの経済政策における根本的な「無策」が存在していると信じています。

というわけで,丸山様も御指摘のとおり,日本の上場企業の経営者の頭脳の中にあることは,本来の「会社」のあるべき姿とかなり相違するものであるだけではなく,会社法にも反するし,国際的な感覚にも全くマッチしないものであるのですが,マスコミが不勉強のために(または,著名なニュースキャスターなどが将来の社内昇進によって自分が自動的に取締役になるという夢をくじかれないために?)妙なことばかり報道しているので,変な感じになってしまうんですね。

とにかく,奇妙な国だと思いますが,大臣がすこぶるまともなことを言ってくれたので,少しは正常な議論ができるようになるかな・・・?

いずれにしても,基本は,「取締役会」とは,社内昇進等とは一切関係のない組織であり,多数株主の利益のために,多数株主に奉仕する執行機関として,多数株主によって選任される組織であって,その存在目的は,多数株主の利益を増加するために会社の利益を出すことだということを忘れてはならないと思います。

だからこそ,私が言う意味でのコンプライアンスや社会的責任が重要になるのだと思います。

株主の利益の増大だけを考えると,とかく法令を無視した経営がなされることになりがちです。これは,法令順守というルールに違反します。
また,顧客の利益を軽視したり,環境問題その他の社会問題を度外視した経営判断がなされてしまうことがあります。それが法令違反になる場合にはコンプライアンスの問題ですが経営の裁量の範囲内だとしても不相当な場合に初めて社会的責任の問題が出てくるのだろうと思います。

ちなみに,労働者の権利保障や安全な労働環境の確保の問題,あるいは,消費者保護の問題や製造物責任の問題などは明らかにコンプライアンスの問題ですので,社会的責任の問題ではありません。

Posted by: 夏井高人 | 2005.10.16 11:36

夏井先生、コメントありがとうございます。個人商店の場合は、経営者=株主の構造になりますので、株主と経営者の利害が対立することなくうまくいくことが多いし、失敗しても納得するしかないわけですね。
 政治でも同じかもしれませんね。独裁者による政治も独裁者が極めて倫理的で国民の幸福、人類の幸福を最大限に高める人であれば、うまくいくのではないでしょうか。
 ただ、その時に、独裁者に歯止めをかける人がいりますね。
 いずれにしても、経営者は株主の利益が最大化するように努力する必要があるわけで、株主に対して文句を言える筋合いではないですね。
 社内昇進をして、取締役になるのも問題はないですが、取締役になれば、今までの従業員としての立場や価値観は捨てて、経営者として株主を向いた立場や価値観で業務にあたらないとだめですね。でないと、株主に対する忠実義務違反になりますね。
 良いか悪いかの問題ではなく、株式会社とは、そもそもそういう仕組みなわけですから・・・

Posted by: 丸山満彦 | 2005.10.16 22:20

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Tracked on 2005.10.16 16:48

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