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2005.10.15

郵政民営化法案 可決 それにまつわるモロモロ

 こんにちは、丸山満彦です。郵政民営化法案が可決しましたね。これからは一定の条件があるとはいえ株式会社としての企業運営が行われるわけですね。


【モロモロ1】前回と今回の投票結果の比較
参議院
・2005.10.13 郵政民営化に関する特別委員会総括質疑
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郵政民営化6法案は、翌14日(金)の同委員会において可決され、同日の本会議において可決、成立しました。
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 参議院は投票結果が公開されていますので、見比べることができますね・・・

【投票結果】
今回 2005.10.14
前回 2005.08.08

■日経新聞
・2005.10.14 郵政民営化法が成立・参院自民は棄権1で反対はゼロ


【モロモロ2】適正な競争
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本会議に先立ち、参院郵政民営化特別委員会は郵便局網の維持や消費税の減免などを求める付帯決議を与党の賛成多数で採択した。
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ちょっと優遇措置を認めるのですかね(付帯決議ですから法的拘束力はないですけどね)・・・
■日経新聞
・2005.10.14 参院、郵政民営化で消費税減免など15項目の付帯決議採択

でも、早速こういう意見が米国から来ているようですね・・・・
■日経新聞
・2005.10.15 郵政民営化法成立で米生保協が声明、同等の競争条件を

 まぁ、当然ですしょうね。

【モロモロ3】会計検査院の検査と公認会計士の監査
 ところで、郵政公社が民営化されると会計検査院の検査はなくなるのでしょうね・・・。
■朝日新聞
・2005.10.15 ゆうパック、箱と袋30万個無駄 会計検査院が指摘へ

 ちなみに会計監査人に対する監査報酬は1億2000万円のようです。
平成16年度事業報告書
・・VI 会計監査人に支払うべき財産上の利益の額

 ちなみに同時期の監査報酬
・東京三菱銀行 7億2900万円
・東京海上日動火災保険 9700万円
・三井生命保険 4200万円
・ヤマト運輸 3300万円
 ですね。制度が違うので一概には比較できませんけどね・・・。




このブログの中の意見は私見であり、所属・関係する組織の意見ではないことをご了承ください。

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Comments

丸山 様

夏井です。

会計監査人の報酬って随分高いんですね。普通の弁護士報酬と比較すると,2桁も3桁も高いように思われます。公認会計士になったほうがよかったかな・・・?(笑)

さて,米国からの要求は,従前からなされていたものと同じ内容のものですが,民営化されたことにより一層明確かつ厳しいものになっていくでしょうね。名目だけ「民営」で実質が「官営」だとかなり厳しい国際経済摩擦の種になることが火を見るよりも明らかだと思います。

そうなると,本当に民営化するための努力をしないといけないことになるのですが,実質的に観た場合,既に国内の宅配業者などが行っている郵便物配達業務に関する様々な規制を徹底して解除していくことにならざるを得ないと思います。つまり,郵政公社と宅配業者とは,少なくとも郵便物や小包の配達業務に関しては全く同じタイプの業種になっていかざるを得ないわけです。

もしそうなった場合に想定される事態は,当然のことながら,外資による宅配業者の買収ということになっていくでしょう。

宅配業の経営者は,そこまでの事態をきちんと予測できているでしょうか?

Posted by: 夏井高人 | 2005.10.16 11:17

夏井先生、コメントありがとうございます。日本のみならず、海外政府や学者の方との交流がある夏井先生ならご理解していると思いますが、海外からは「ルールを明確にし、その運用も含めて公正にしろ」という声が高まると思いますね。それと、株式会社になるわけですから、いつでも買収できるようになる。経営者は会社の経営資源を使って本来実現できる企業価値に株価を近づけておかなければ、つまり、最大限の経営努力をしておかなければ、株価が割安ということで、経営者を変えて株価を上げようとする海外資本にも飲み込まれる可能性があるわけですね。これは今回民営化される企業のみならず、既に民営化されている企業も同じなわけです。

 ちなみに、監査報酬は高いように見えますが、時間当たりの単価にすれば、弁護士報酬の足元にも及びませんので夏井先生の選択は正しかったと思います。

Posted by: 丸山満彦 | 2005.10.16 11:30

丸山 様

夏井です。

弁護士報酬の時間単価は高いように見えるかもしれませんが,実際には,移動のための交通費などの実費がコミになっていることが多いですし,準備や調査のために費やした時間や費用はチャージしないというのが日本のまともな弁護士のやり方ですので,それらを考えると,額面での時間単価とは異なり,実質的な時間単価はかなり安いものとなっているとお考えください。

私の場合でも,1時間の面談で世界最高の水準のアドバイスができるように,暇があれば自費で海外に出かけたり,現時点では法学や法律実務とは直接関係のない分野であっても近い将来必要になりそうなことについては徹底して時間を割いて調査・研究を重ねているわけで,そのようなチャージされない隠れた苦心や努力が存在しているのでなければまともな弁護士サービスなんて絶対に提供できないんですよ。

ちなみに,弁護士事務所の中には,新前の弁護士が未熟のために不必要に費やしだ時間を含めた人件費を計上し,どこかからコピーしてきて印刷しただけの膨大なドキュメントを提供し,それらに要した時間を単純に積算したタイムシートをつけ,結果として,多額の顧問報酬を請求することがあるようですが,それはいけないことですね。
そのようなドキュメントの中には,私が大学のHPで完全公開しているものも含まれていることがあります。すこぶるよろしくないことだと思っています。

Posted by: 夏井高人 | 2005.10.16 12:02

夏井先生、コメントありがとうございます。まぁ、どの世界でも同じですねかね・・・。
 
 たとえば料亭で食事をする時に、食べ物の素材、掛け軸、生け花、器、欄間・・・の良さがわからないので、料理の値段が高く感じてしまう・・・ということがありますね。
 本物に関しては、買うほうの力量も試されますから、本物を売るのは難しいのかも知れませんね。でも、私は本物の価値をわかってもらえる人に本物を買ってもらえるように、努力をしたいと思っています。できているかどうかは別ですよ・・・(笑)

Posted by: 丸山満彦 | 2005.10.16 22:57

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 郵政民営化法の成立で日本郵政公社は2007年10月から民営化されることになりました。今国会では衆参それぞれ3日の審議でしたが、成立までは波乱の連続で、長い道のりでした。3カ月前、わずか5票差で衆院を通過した郵政法案は、衆院選をはさんで今回、同じ衆院、同じ法案なのに200票の大差がつき、否決された参院でも34票の差で可決という何とも不思議な国会風景が演じられました。  かつて郵政... [Read More]

Tracked on 2005.10.15 15:24

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