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2005.09.10

選挙と個人情報保護法

 こんにちは、丸山満彦です。UZENさんから以下のようなコメントをいただきました。

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個人情報保護法と選挙に関する話題ですが・・・。
http://news.www.infoseek.co.jp/politics/story.html?q=07jijiX099&cat=1
「政党など政治団体への提供は例外」なんでしたっけ?

http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20050909i201.htm
こちらは、ちょっと言い回しが違うようです。
しかし、
「労組などの団体名簿に記載された個人情報をもとに、投票を依頼する電話をかける」
というのは、電話をかける主体が政治団体のメンバーなら、労組→政治団体に名簿が流れているということで、労組側に問題があると思うのですが・・・。
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 個人情報保護法の第50条では
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(適用除外)
第五十条 個人情報取扱事業者のうち次の各号に掲げる者については、その個人情報を取り扱う目的の全部又は一部がそれぞれ当該各号に規定する目的であるときは、前章の規定は、適用しない。
一 放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(報道を業として行う個人を含む。)報道の用に供する目的
二 著述を業として行う者 著述の用に供する目的
三 大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者 学術研究の用に供する目的
四 宗教団体 宗教活動(これに付随する活動を含む。)の用に供する目的
五 政治団体 政治活動(これに付随する活動を含む。)の用に供する目的
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となっていますね。

 まぁ、個人情報保護法の観点だけで言えば、政治団体が政治活動の用に供する目的で利用するために、事業主が個人データを第三者に提供することは、個人情報保護法の適用除外の対象となるようですね。これは、事業主が報道の用に供する目的で報道機関に個人データを第三者に提供することが、個人情報保護法の適用除外の対象となるのと同じ理屈だと思います。

 ただし、個人情報保護法だけで世の中回っているわけではないので、注意が必要ですね。こういう問題について、個人情報保護士はどう答えるのだろうか?まぁ、個人情報保護士は「「個人情報保護法」に関するエキスパートであることを認定」されてはいるけど、他の法律についてはエキスパートとして認定されていないからそれはそれでよいと割り切っているのでしょうかね・・・。

■2005.03.20 個人情報保護法 頭の体操15
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【Q】 当社は一般製造業で、個人情報取扱い事業者に該当します。当社は、国政選挙等の前にA政党に従業員の住所、氏名等を名簿の形で提供しています。その政党ではその名簿を選挙活動の目的で利用しています。
 個人情報保護法では、政治団体が政治活動の用に供する目的で個人情報を取り扱う場合は、個人情報取扱事業者の義務が課されないことになっています。しかし、当社は政治団体ではありません。

 当社の場合、政治活動のためとはいえ従業員の個人データをA政党に提供する際に事前同意等の措置を講じなければならないのでしょうか。
 もし、そうだとしても事前同意はわずらわしいので、いわゆるオプトアウトの方法(法23条2項)で第三者提供をしようと思うのですが、問題ないでしょうか。
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Comments

この条文(第50条)は「個人情報取扱事業者のうち次の各号に掲げる者については・・・前章の規定は、適用しない」
ということなので、
 個人情報取扱事業者=放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関
 個人情報取扱事業者=著述を業として行う者
 個人情報取扱事業者=大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者
 個人情報取扱事業者=宗教団体
 個人情報取扱事業者=政治団体
の場合、つまり、個人情報を入手したのが報道機関or作家or大学or宗教団体or政治団体だったら、《第四章 個人情報取扱事業者の義務等》に書かれている規定を遵守しなくても良いということですよね?(第三者が報道機関or作家or大学or宗教団体or政治団体の場合ではないですよね?)

だから、政治団体が "自ら(自分たちで)" 個人情報(個人データ)を書面で集めたときに、仮に利用目的をあらかじめ明示していなかったとしても、その個人情報を政治活動に使うことが問題ないのは分かります。[個人情報の流れ:本人⇒政治団体]

でも、報道機関でもなく、作家でもなく、大学でもなく、宗教団体でもなく、政治団体でもない「一般の企業」が、従業員の個人情報を勝手に(無断で)政治団体(=第三者)に個人情報(個人データ)を渡しちゃうのはマズイと理解しているのですが・・・。[個人情報の流れ:本人⇒企業⇒政治団体(=第三者)]

(なので丸山さんが書かれている「事業主が報道の用に供する目的で報道機関に個人データを第三者に提供することが、個人情報保護法の適用除外の対象となる」と書かれていますが、これも事業主が一般の企業なら適用除外されるケースではないと思っているのですが・・・)

間違った理解をしているのかなぁ・・・?

Posted by: uzen | 2005.09.11 00:03

UZENさん、コメントありがとうございます。政治団体は個人情報取扱事業者に該当するけど、義務は課さない。適用除外でない団体が政治団体に個人データを提供する場合は、適用除外ではないけど、第35条の主務大臣の関与の部分で政治の自由を妨げてはならないということになっているので、関与しないということなのでしょうかね・・・。

Posted by: 丸山満彦 | 2005.09.11 13:00

第三十五条 主務大臣は、前三条の規定により個人情報取扱事業者に対し報告の徴収、助言、勧告又は命令を行うに当たっては、表現の自由、学問の自由、信教の自由及び政治活動の自由を妨げてはならない。
2 前項の規定の趣旨に照らし、主務大臣は、個人情報取扱事業者が第五十条第一項各号に掲げる者(それぞれ当該各号に定める目的で個人情報を取り扱う場合に限る。)に対して個人情報を提供する行為については、その権限を行使しないものとする。

なるほど、第35条には確かに「個人情報取扱事業者が(報道機関or作家or大学or宗教団体or政治団体に対して)個人情報を提供する行為については権限を行使しない」と書かれていますね。

一般の企業が、《第四章 個人情報取扱事業者の義務等》に書かれている規定を遵守せずに、個人情報を 報道機関or作家or大学or宗教団体or政治団体 に渡してしまうことは、個人情報保護法の立法趣旨を鑑みると問題あるかもしれないけど、表現の自由、学問の自由、信教の自由、政治活動の自由に行政は踏み込みたくないから(行政罰は馴染まないから)、もし問題だと思ったら、行政に頼らずに勝手に私人間(会社と個人情報を第三者提供されてしまった本人)で解決してね、ということなんでしょうかねぇ・・・。

Posted by: uzen | 2005.09.11 16:30

調べたところ、下記の内閣府(国民生活政策)のホームページに資料(PDF)がありました。

(1)対象となる個人情報、事業者について
・適用除外について
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/kojin/kaisetsu/pdfs/jyogai.pdf

(表現の自由、学問の自由、信教の自由、政治活動の自由に関わる活動※)
※(例)
①報道機関等が行う報道活動等に密接に関わる行為
②報道機関等以外の者が行う表現の自由等に関わる行為
③報道機関等が行う取材活動等と裏腹の、情報提供者側の情報提供行為

主務大臣の権限の制限(第35条)
① 主務大臣による勧告・命令等を行うにあたっては、憲法上保障された自由に関わる活動を妨げてはならない。
② 5つの主体の5分野の活動に対する情報提供行為については、主務大臣は権限を行使しない。
(ただし、義務規定自体は適用される。)
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

結局のところ、

 個人情報取扱事業者(一般の企業)が、
 報道機関or作家or大学or宗教団体or政治団体に個人情報を提供することに対し、
 個人情報保護法の義務規定《第四章 個人情報取扱事業者の義務等》は適用されるが、
 主務大臣が権限を行使することはない

義務は課すけれど、その義務に反したからといって(個人情報保護法上の)行政罰を受けることはない・・・ということみたいですね。


■個人情報保護法の解説
藤原 静雄 (著), 個人情報保護法制研究会 (著), 園部 逸夫(編集)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4324075832/qid=1126516070/sr=1-1/ref=sr_1_10_1/250-0792141-4902669

読み直してみたら、上記の藤原先生の本にはこの点の解説がきちんと書かれていました・・・。

Posted by: uzen | 2005.09.12 18:50

UZENさん、コメントありがとうございます。はい、そうですね。宇賀先生の本にも書かれていたように記憶しています。

Posted by: 丸山満彦 | 2005.09.12 19:11

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