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2005.09.13

カネボウ粉飾 会計士本格捜査へ?

 こんにちは、丸山満彦です。監査法人が「粉飾行為が巧妙で、見破れなかった」とコメントしていたようですが、新聞報道によると状況が違うのかもしれません。

 会計監査を中心に仕事をしていたころ、私もいろいろなことがありました。上司から常に言われていたことは、「あなたはプロなのだから、常に自分が正しいと思う判断をしなさい。上司にも遠慮することはない。自分が納得していないのにいい自分にウソをついて納得したつもりになっては駄目。私もあなたを一人のプロとして接します。」ということでした。

 会計処理には経営の意思決定と言えるものもあります。例えば、固定資産の減損処理、債権の回収可能性による適正価額の評価などなどです・・・。もちろん、今回話題となっている連結子会社の範囲という問題もあります。
 このような評価にかかわる部分は、考え方により判断に幅がでる場合がありえます。
 例えば、営業債権の場合で考えて見ましょう。自分としては、
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「その会社の決算状況、現状の販売実績や将来の見通し、銀行などの追加融資の実施の有無などなどを総合的に考えて、将来回収される可能性がほとんどないので、債権を評価減しなければならない」
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と思っていても、
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「将来回収できる可能性が高いので評価減する必要はない。会社から入手した経営計画では、現在開発中の新製品がでると売上は大幅に増え、債権は必ず回収できる」
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と会社側から説明される場合もあります。
 そういう時にどれだけ自分が信念を貫いて自分の意見を言えるかですね。間違った意見をいうことにより、会社の信頼を失い、監査契約を打ち切られる可能性もあるのですが、当時の上司は、「それが私たちの判断で、会社がそれを受け入れられないのなら、そんな会社と契約を続ける必要はない」と言っていました。もちろん、実際には、私の考え方が十分でなかったとか、会社が私たちの主張を認めてくれたりして、契約解除なんてことはないのですが・・・
 私の考え方が結局上司によって否定されて会社よりの判断となる場合は上司がなぜそうなったのかを説明してくれましたね・・・。また、それが自分に対する勉強にもなりました。
 今は、立場が逆になっていますが、その時のことを思い出して、若い人の意見も一人のプロとして率直に聞くように心がけています。(できているかどうかは、若い人に聞いてみないとわからないのですが、できているつもりです。)

 
■日経新聞
・2005.09.13 カネボウ粉飾、中央青山の会計士を本格捜査へ・東京地検

■朝日新聞
・2005.09.13 粉飾「会計士に相談」 カネボウ元常務供述、取り調べへ

■読売新聞
・2005.09.13 カネボウ粉飾決算、きょう4会計士を本格捜査

■毎日新聞
・2005.09.13 カネボウ粉飾:中央青山会計士を本格捜査へ 加担は4人

■産経新聞
・2005.09.13 カネボウ粉飾 会計士数人立件へ 元副社長らと虚偽記載協議 近く本格捜査

■東京新聞
・2005.09.13 カネボウ粉飾 会計士を本格捜査へ


【参考】このブログ
・2005.09.11 カネボウ粉飾 会計士立件へ?
・2005.08.08 カネボウ粉飾 監査法人が取引先の債務超過を過少報告?
・2005.07.30 カネボウ粉飾決算事件 監査法人に家宅捜査



このブログの中の意見は私見であり、所属・関係する組織の意見ではないことをご了承ください。

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