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2005.09.29

日経BP社 過剰な個人情報保護が社会を分断する!

 こんにちは、丸山満彦です。日経BP社のホームページに、田淵義朗氏(ネット情報セキュリティ研究会会長)による「過剰な個人情報保護が社会を分断する!~行政や企業は情報公開拒み、個人は詐称のし放題~」という記事がのっている。個人情報保護法を改正し、個人情報をもっと手軽に流通させるようにしろ・・・という意見だろうか?

 
■日経BP
・「場当たり個人情報」から「攻めの情報活用」へ
・・第6回:過剰な個人情報保護が社会を分断する!(田淵 義朗氏)

 田淵さんという方にお目にかかったことは無いのですが、田淵さんは、ネット情報セキュリティ研究会(NIS)の会長のようです。

===リード===
 「個人情報保護法」は、本来情報取扱業者のモラルを保ち、より豊かな情報社会を実現するのが趣旨だったはずだ。ところが、施行から半年、情報保護の意味を拡大解釈して情報公開を拒む行政や大企業、ひたすらプライバシーばかりを要求する個人といった醜悪な歪みを生みつつある。モラルなき土壌には法律は機能しない。これでいいのか…。
=========

 個人情報保護法では、個人データを第三者提供する場合は本人による事前の同意が必要ということで、事前の同意をとっていない個人データの第三者への提供を企業が拒んでいる。

 個人も第三者への個人データへの提供を同意しない。

 なので、これを隠れ蓑にした不正に注意しなければならないということのようです。

 確かに、手間が増えた面はあるけど、今まで本人の意思を尊重せずに使われ過ぎていた面を個人情報保護法は気づかせてくれたのかなぁ・・・と思っていますけどね。企業側は、本人の意思をよく確認することが重要なんではないでしょうかね。
 また、個人情報保護法はいろいろな例外を設けているので、それをきちんと理解することも重要だと思いますね。

 田淵さんが、JR西日本の事故に際して、遺族に他の遺族の個人情報を提供しないことを批判していますが、遺族が他の遺族には連絡してくださいと言えばよい話だと思います。
 また、事故で、意識不明で身元の確認できない多数の患者が複数の医療機関に分散して搬送されている場合に、患者の家族又は関係者と称する人から、患者が搬送されているかという電話での問い合わせがあった場合に相手が家族等であるか十分に確認できなくても患者の存否情報を回答してもよいのか?ということについては、厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」に関するQ&A(事例集)に考え方が書かれていますね。
 また、報道機関による報道目的ならば、同意等はいらないわけです。もちろん、プライバシーへの配慮は必要に応じてしなければなりませんけどね・・・。

 個人の方も企業の方も、個人情報保護法の運用に関して疑問を感じたら、所管省庁、地方自治体、国民生活センターに相談すればよいですよ。
 国民生活センターの個人情報に関する苦情相談窓口には地方公共団体の窓口も書いてあります。

 ふー。



このブログの中の意見は私見であり、所属・関係する組織の意見ではないことをご了承ください。


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Comments

もうおっしゃるとおりですよね。新聞紙面では、9月にはいっても同様の主張がどんどん出ていますが、第三者提供に関しては、単に本人の同意を得ればいいだけのことで、病院もJRも本人の同意があればもう言い訳できなくなりますよね。

だから、ホテルの客も、JRの事故の被害者も、「私は自分の個人情報の第三者提供に同意します」という意思表示すればいいだけなんですよね。

こんなレベルで法律の改正だとか言われては、困ってしまいますね。。。。。

ふー。

Posted by: 個人情報保護blog/最適解 | 2005.09.30 16:20

最適解さん、コメントありがとうございます。法律をよく読んで、よく考えて、わからなければ弁護士に相談などして行動すればよいのだと思います。例外措置もあるのだから、そういうのをうまく使えばよいのだと思います。

Posted by: 丸山満彦 | 2005.10.01 13:26

補足説明ごくろうさん。
まるちゃんが、客観的な伝聞報告ではないことを書くこともあるわけね。オッケー!
この件はさすがに、ある一線を超えたってことだね。

フォー!

Posted by: 佐藤慶浩 | 2005.10.03 18:13

佐藤さん、コメントありがとうございます。またまた、厳しいつっこみですね・・・。ときどき筆がすべることもあるということでしょうかねぇ・・・。
 人間ですから多少ぶれるということで・・・。

フゥーーー!!

Posted by: 丸山満彦 | 2005.10.03 23:01

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