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2005.06.14

フィッシングで逮捕@日本

 こんにちは、丸山満彦です。武田さんのブログに取り上げられていますが、日本でもフィッシング事件を起こした容疑者が逮捕されたようですね。著作権法違反と不正アクセス法違反・・・

 
■朝日新聞 asahi.com 2005.06.13
偽の「ヤフー」でフィッシングの疑い 会社員を逮捕

■毎日新聞 2005.06.13
・ フィッシング逮捕:偽ヤフーで個人情報入手の男 全国初

■産経新聞 産経Web 2005.06
フィッシング、全国初摘発 偽HPで個人情報盗む

 警視庁のハイテク犯罪対策総合センターが大阪市の容疑者を逮捕したようですね・・・




このブログの中の意見は私見であり、所属・関係する組織の意見ではないことをご了承ください。

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Comments

 最近は、遠くの警察が来て遠くの裁判所で裁かれることになって初めて「ハイテク犯罪」というのを実感します。
 大阪から東京までならいい方ですよね。

Posted by: 奥村徹(大阪弁護士会)です。 | 2005.06.14 16:57

奥村先生、コメントありがとうございます。なるほど・・・です。

Posted by: 丸山満彦 | 2005.06.15 07:54

丸山 様

夏井です。

著作権侵害はあかもしれませんが,Webサイトのデザインについては,どれを見ても同じようなもので創作性に乏しいという理由で著作物性を否定した事例(サイボーズ事件)などもあるので,本当に著作権侵害になるかどうか分かりません。

本来であれば,広い意味での個人情報の侵害または詐欺的行為として理解すべきでしょう。

そこで詐欺罪の成立の有無についてなんですが,今回の行為者が詐欺の意図で問題のフィッシングを実行したとしても(そのような主観的意図の存在を立証できたとしても),その行為だけでは被欺罔者に対してなされる財物を得るための欺罔行為とは言えず,単なる準備行為に過ぎませんね。つまり,詐欺の実行行為の着手はないという意味で詐欺未遂にはならないということになります。

詐欺未遂であれば刑法250条で処罰可能ですが,詐欺準備罪は存在しないので,詐欺と関連する罪としては処罰できないことになります。

もしかすると,刑法を改正して,詐欺の準備行為も処罰できるようにしないと駄目かもしれません。

それと同時に,保護されるデータに対する無権限アクセス罪を制定する必要性がますます高まったというべきでしょう。その論拠は,従来からの持論のとおりです。

Posted by: 夏井高人 | 2005.06.15 13:20

丸山 様

夏井です。

更に検討してみましたが,著作権法違反の罪名でいくくらいなら,偽計業務妨害罪(刑法233条)として処理したほうがずっと素直ではないかと思いました。

詐欺の意図の証明は簡単じゃないし,シラをきられたらそれでおしまいですが,フィッシングサイトを構築・公開しただけで,本物のサイトの運営上何らかの業務妨害が発生することは当然認識できるし,そうでなければ偽サイトとして機能しないわけなので,否認のままでも自動的に証明できると思います。
したがて,業務妨害罪なのですが,電子計算機損壊等業務妨害罪の場合には,構成要件の充足性に若干難点があるので,無理はしないほうが良い。

というわけで,本件事案のような事例では,偽計業務妨害罪として有罪説を唱えることにします。

Posted by: 夏井高人 | 2005.06.15 16:37

今回のフィッシングの件を「著作権法違反」で引っ張ったという点はかなり違和感を感じていたのですが、有識者の方でこの点に異議を唱えている方を見つけられなかったので、イマドキの著作権法の”運用”って、そんなものなのかなぁ・・・と思っていたのですが、やっぱりちょっとおかしいですよねぇ。

#「著作権法違反」で、”逮捕”(連行)までする必要性も、
#本当にあったのでしょうか・・・?

自宅のPCでサイトを立ち上げていたとしても、どこかのプロバイダと契約していたはずなので、逮捕に至るまでの経緯としては、プロバイダ責任制限法をもとにヤフーが「著作権侵害」で発信者情報開示手続を取り、その後、著作権違反で告訴したということなんでしょうかねぇ・・・。

Posted by: uzen | 2005.06.16 02:26

夏井先生、uzenさん、コメントありがとうございます。
今回の件を著作権法違反で逮捕したことについては問題意識を持っている方も少なからずおられるようですね。

■町村先生 Matimulog 2005.06.13
Phishingの犯人捕まる・・・って

■小倉先生 Benli 2005.06.13
フィッシングと著作権

 夏井先生は偽計業務妨害罪(刑法233条)
====
(信用毀損及び業務妨害)
第233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
====
の適用がよいのではないかという話ですよね。なるほどです。

Posted by: 丸山満彦 | 2005.06.16 09:40

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