偽造カード被害にあったので損害を補填しろ
こんにちは、丸山満彦です。朝日comに「偽造カード被害、みずほ銀脅す 容疑の総会屋ら2人逮捕」というニュースがでていました。
これからはこういう犯罪が増えるのでしょうかね・・・
■朝日新聞 2005.06.08
・偽造カード被害、みずほ銀脅す 容疑の総会屋ら2人逮捕
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東京都内のコンビニ店などの現金自動出入機で数人の男が金を引き出していたことが確認されて
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いたようですが、
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偽造されたキャッシュカードを使って30回、計約583万円が引き出されたと主張し、同額を支払うよう要求。だが同行に「暗証番号の管理に重大な過失がある」として拒否された。
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ようです。
■読売新聞 2005.06.08
・「偽造カード被害」銀行に補償要求、総会屋ら逮捕
悩ましい事件ですね・・・
【参考】
■金融庁 偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループ
・2005.06.04 与党 偽造・盗難カード法案 被害は原則金融機関の負担
・2005.05.21 偽造キャッシュ問題 自民党案は金融庁より銀行に厳しいそうだ
・2005.04.26 金融庁 偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループ(第9回)
・2005.04.16 金融庁研究会 偽造カード対策の生体認証の標準化に慎重論
・2005.03.29 偽造・盗難キャッシュカード関係 自民党の動き
・2005.03.25 金融庁 偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループ議論の行方
Comments
丸山 様
こんばんは。
この問題は,こう考えるべきでしょう。
キャッシュカードは,「鍵」の一種であり,「金庫」に相当するバンキングシステムは銀行だけがそれを提供し100パーセント管理している。
金庫の「鍵」の保管についてユーザに落ち度があるように見える場合でも,ユーザの側のしばしばあり得るような簡単な落ち度によって容易に開錠されるような「金庫」を提供しているのは銀行である。
しかも,キャッシュカードの暗証番号は4桁しかないので,容易に推測されたり漏洩されたりすることがずっと昔から分かっている。このことは銀行関係者の間ではむしろ常識に属している。
したがって,そのような容易に「合鍵」を作られてしまうような「金庫」を銀行が提供しているのである以上,ユーザに落ち度があったとしても,銀行は脆弱な金庫を提供している者として賠償責任を負う(容易に開錠されてしまような貸倉庫を提供する業者は,貸倉庫内にあった物品の盗難等について,原則として全責任を負い,その倉庫がそもそも脆弱な場合には免責約款も無効とされてしまうのと同じ。)。
なお,事案により,ユーザの過失を勘案した過失相殺を主張できる場合があると思いますが,ユーザの側に存在した「過失」を構成する重要な事実については銀行側が主張・立証すべき法律上の証明責任を負っていますので,その証明がない限り過失相殺をすることはできません。新聞等の論調を見ていると別の見解を述べている法学者もあるようですが,そのような人は裁判実務をぜんぜん知らず,実務には役立たない机上の理論しか知らず,もちろんロースクール(法科大学院)の教員としても不適格な人だと理解すべきでしょう。
以上のとおりです。
Posted by: 夏井高人 | 2005.06.08 20:08
夏井先生、コメントありがとうございます。なるほど、私の考えは間違っていたかも知れませんね。
制度の違いがあるかもしれませんが、米国にいた時、銀行のキャッシュカードでは1日600ドル(確か・・・)までしか引き出せませんでした。銀行が原則負担することにして、銀行はこのような方法で自分のリスクを低減することを考えれば良いのでしょうね。
なるほどです。ありがとうございます。
Posted by: 丸山満彦 | 2005.06.09 00:11