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2005.05.30

金沢地裁:住基ネットからの離脱を認める

 こんにちは、丸山満彦です。ある人から教えていただきました。金沢地裁で、住民基本台帳ネットワークからの離脱を認める判決があったようです。金沢地裁が示した判断は、「自己のプライバシーの権利を放棄せず、住基ネットからの離脱を求めている原告らに対して適用する限りにおいて、住基ネットに関する各条文は憲法13条に違反する」ということのようです。

 
【要旨】
■東奥日報 2005.05.30
住基ネット訴訟判決要旨 

【記事】

■日本経済新聞 2005.05.30
住基ネットの違憲性指摘、個人情報の削除命じる・金沢地裁
 
■朝日新聞 2005.05.30
住基ネット離脱認める プライバシー侵害認定 金沢地裁

■毎日新聞 2005.05.30
住基ネット:個人情報削除認める、全国初 金沢地裁

■読売新聞 2005.05.30
住基ネットからの「個人離脱」認める…金沢地裁

■東京新聞 2005.05.30
住基ネットから削除命じる反対者への適用は違憲 金沢地裁判決

■産経新聞 2005.05.30
住基ネットの違憲性指摘 個人情報の削除命じる 金沢地裁


これらの新聞記事を参考にすると・・・
===
・氏名、住所、生年月日、性別の基本4情報と住民票コードなどの本人確認情報も、マッチングの問題があり、自己情報コントロール権の対象となるプライバシー情報となる。

・住基ネットの目的の「住民の便益」について「便益とプライバシーのどちらを優先させるかは、個人が自らの意思で決定すべきもので、行政が住民に押しつけることはできない。

・自己のプライバシーの権利を放棄せず、住基ネットからの離脱を求めている原告らに対して適用する限りにおいて、住基ネットに関する各条文は憲法13条に違反する。

・したがって、県と地方自治情報センターは原告住民の個人情報を削除しろ。
===

 デジタル化されない権利ですかね・・・。

【参考】 憲法
第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。


このブログの中の意見は私見であり、所属・関係する組織の意見ではないことをご了承ください。


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Comments

丸山 様

夏井です。

自己情報コントロール権ですね。

デジタル情報化されない権利を究極まで進めると,たぶん,登録される前(つまり,事件性のない時点で)住民基本台帳法それ自体の無効確認を求める訴訟を提起することができるということになります。

デジタル情報化されない権利は,デジタル情報化された情報の削除や停止を求める権利を主体とするものではなく,最初の段階での拒絶を主要な内容とするものです。

ですから,個人情報保護法が「事前の同意」を要件としなかったことはデジタル情報化されない権利の侵害となるので,上記の理屈どおりだと個人情報保護法の無効確認訴訟を提起できることになりますね。

ちなみに,戦後の憲法学者や行政法学者は,かなり間違ったことばかり述べてきました。最高裁もその尻馬に乗って間違った判決を積み重ねている部分があります。特に憲法訴訟に関して「事件性」の要件を持ち出しているのは大間違いです。誤解というよりも曲解なのではないかと理解しています。日本国憲法では,憲法訴訟に関して「事件性」など一切要件としてはいません。つまり,日本国憲法は,(米国人が起草したものなので)米国と同様に抽象的違憲訴訟を適法に提起することができることを前提に制定されたものだと理解するのが素直な解釈だと思います。

GHQの関連文書がWebでも公開されるようになってきたようです。若手の研究者には,そのような文書の調査・解析などの研究をどんどん進めて欲しいです。

いわゆる権威と呼ばれてきた憲法や行政法の教授らがいかに日本国の法解釈を(おそらく意図的に)ゆがめてきたかがよく分かると思います。

司法試験の受験教科書だったからなどというつまらない理由のみでそうした「権威」の教科書に書いてあることに盲従するのではなく,自分の頭で素直に考えるような法律家がどんどん育って欲しいです。

Posted by: 夏井高人 | 2005.05.31 at 09:51

夏井先生、コメントありがとうございます。確かに、デジタル情報化されない権利の場合であれば、登録される前(つまり,事件性のない時点で)であっても権利の主張ができて、住民基本台帳法そのものが、憲法違反の無効確認を求める訴訟を提起することができそうですね・・・。というところで、「事件性の要件」の話になるのでしょうが・・・。

さて、GHQの文章が公開されてきて高橋弁護士なども、いろいろと研究しているような気がしますね・・・。この前は通信の秘密の話をしてたなぁ・・・
====
第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
====
高橋弁護士もマニアックに勉強熱心だからなぁ・・・・。

Posted by: 丸山満彦 | 2005.05.31 at 14:30

おほめいただきありがとうございます。

だって、遠隔通信の秘密が、表現の自由ってなんか納得がいかないでしょ。(まして...は、以下はまだ研究中。でも、立証できると結構衝撃的かも).

ネットワークや法律というのは、マニアのもんですよ。ネットワークでは、知らないことは、敗北を意味するんじゃないでしたっけ。

ちなみに家には、木ノ内みどりのシングルが保管されています(マニア!)

Posted by: 高橋郁夫 | 2005.05.31 at 16:35

実は、ある会社で発信者番号も通信の秘密だ・・・と言われて、あれって思ったんですよ・・・。まぁ、他の法律もあるので憲法だけの問題ではないのですが・・・。
高橋先生の研究成果を楽しみにしています。

木の内みどりのシングルですか・・・。友達に、ソフィーマルソーのピンクとブルーのハート型レコード2枚組みを見せられたのと同じくらいの衝撃です。

Posted by: 丸山満彦 | 2005.05.31 at 19:17

丸山 様

こんばんは。

マニアと聞いて一言・・・

松田聖子さんのコンプリートコレクションを盛っていたりしました。(ぼそ^^;)


Posted by: 夏井高人 | 2005.05.31 at 21:14

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