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2005.05.17

事故・不祥事の原因追求を見届けてから社長を辞任すべきか

 こんにちは、丸山満彦です。事故・不祥事がおこると、社長などが原因追求を見届けてから辞任するというケースが増えているように思う。以前は、事故・不祥事の発生とともに辞任していたケースも多かったように思うのだが・・・

 
 原因追求を見届けてから社長を辞任するのが責任をまっとうしているという考え方もあるだろう。しかし、見方によっては、原因追求の結果、どのような報告書が出てくるのか心配なので、その報告書がでてくるまで影響力を行使できる立場にいたいという気持ちの人もいるのではないかと思うことがある。もちろん、それ以外にも、権限委譲している部下の責任で自分に責任はないのだから何故やめないといけないのかと思っている人もいるだろう。

 外部識者による委員会を設置して原因の追究を行うことにしても、報告先が事故・不祥事発生当時の社長であれば、報告書を書く筆先が鈍ることがありえる。また、あまり面識がない者からなる委員会では、声の大きい人の意見が委員会全体の意見としてすんなり通ってしまう場合があり、根回しをすることにより委員会の意見をある程度コントロールすることもできる。
 こういう場合、社長への責任追及が行われなかったり、報告書に現れなかったり、矮小化されたりする可能性がある。

 事故・不祥事の発生とともに辞任すべきか、原因追及を見届けてから辞任すべきか、一概には言えないとは思う。
 ただ、それまでの言動を見ていて、責任感が強く、自らの責任を深く考え最後は自分が責任を取らねばならないという決意をもって対応していると思われる場合を除けば、社長を辞任(できたら、取締役も辞任して)するのが、利害関係者に最も配慮した対応だと思う。

 取締役を辞任しても、事故当時の経営責任を免れる事はできないのだから、責任と言う意味では辞めようが、辞めまいが同じことである。



このブログの中の意見は私見であり、所属・関係する組織の意見ではないことをご了承ください。

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Comments

丸山 様

夏井です。

> 取締役を辞任しても、事故当時の経営責任を免れる事はできないのだから、責任と言う意味では辞めようが、辞めまいが同じことである。

この点は,法律論としてま全くそのとおりですね。

辞職すれば免責されるなどということはあり得ないことですので,法的責任(株主代表訴訟等による損害賠償義務の履行,懲役刑の宣告による服役など)はしっかり果たしていただかなければなりません。

だから,別のところにも書いたとおり,ちゃんとしていない人が経営者になろうとするのは馬鹿なことだと思っています。万年ヒラが一番良いです。

仄聞するところによると,わざと失敗させて責任を取らせ社会から完全に葬り去るために,特定の従業員をわざと代表権のある取締役に就任させることもあるやに聞いておりますが,世の中怖いですね。

ちなみに,世間における責任の取り方には法的責任以外の社会的責任の取り方というものもあります。状況によっては辞任するのが最も良い場合もあるのでしょうね。
まあ,でも失敗した人に経営を続けさせるかどうかは,(株式会社の場合には)基本的には株主が決めるべきことなので,経営者自身または他の取締役などが自分から意見を言ったり,世間が騒いだりすべき性質のものではないかもしれません。
マスコミなどが「責任追及!」と騒ぐ場合,その会社の株主の利益に対してもかなり大きな悪影響を与えていることになるわけですが,そこらへんのことはちゃんと理解されているのでしょうかね・・・?
もしかするとちゃんと理解されているので,大事件があっても当該マスコミ企業の大株主(特に長者番付にも名前が出ている有名人など)が株主となっている企業が事件を起こしたような場合には,マスコミなどにもあまり騒がれないのかもしれません。
これは,明らかにマスコミにおける「公平な報道」の原則に反するわけですが,人間がやる報道ですので,不公平や不公正が混じってしまうのはむしろ当然のことでしょう。おそらく新聞やテレビなどにまじめに耳を傾けようとすることのほうが最初から間違っているのでしょう。

というわけで,最近では新聞やテレビの報道にはほとんど一切と言ってよいほど目を通さなくなってしまいました。
新聞やテレビなどではなく別のチャネルからもっと精度の高い情報をいくらでも入手可能ですしね。

Posted by: 夏井高人 | 2005.05.18 08:52

夏井先生、こめんとありがとうございます。

> 失敗した人に経営を続けさせるかどうかは,(株式会社の場合には)基本的には株主が決めるべきことなので,経営者自身または他の取締役などが自分から意見を言ったり,世間が騒いだりすべき性質のものではないかもしれません。

その通りですね。

ただ、現在の制度では、経営者としての的確性があるかどうかを株主が知るのが非常に困難な状況ですので、できたら適性テストなどの結果を公表したらよいのかもしれません。

 トラックや電車の運転手になる時には、適正テストをうけるという話を聞いたことがあります。

Posted by: 丸山満彦 | 2005.05.18 14:57

丸山 様

夏井です。

適正テストは「ちょっと・・・」という感じがしますね。^^;

でも,企業の経営方針,財務状況を含む経営状況,新製品や新サービスの開発状況など,経営者としてしっかりやっているかどうかを判断する際に必要な情報はきちんと開示すべきでしょうね。

現行の商法及び改正商法でもそこらへんのあたりがまだまだ不十分なのではないかと思います。

同じことは,国務大臣についても言えると思います。もっと明確で詳細な情報開示が必要でしょう。

Posted by: 夏井高人 | 2005.05.19 14:16

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