自民党の個人情報保護法改正案
こんにちは、丸山満彦です。自民党の個人情報保護法の改正案が16日に明らかになったようですね。まだ見ていないのですが・・・
■毎日新聞 2005.05.17
・個人情報保護法:従業員も処罰対象に 自民改正案
自民党の「情報漏えい罪検討プロジェクトチーム」がまとめた改正案によると、
① 従業員や退職者、データ処理委託先の従業員らを対象に「不当利用防止の義務規定」を新設。
② 本人や第三者の不正な利益を図る目的で情報を漏らした場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科す
としているようです。
ちなみに、
■個人情報取扱事業者が主務官庁の命令に違反した場合や虚偽の報告をした場合は
第六章 罰則
第五十六条 第三十四条第二項又は第三項の規定による命令に違反した者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第五十七条 第三十二条又は第四十六条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
■行政機関個人情報保護法の場合は
第六章 罰則
第五十三条 行政機関の職員若しくは職員であった者又は第六条第二項の受託業務に従事している者若しくは従事していた者が、正当な理由がないのに、個人の秘密に属する事項が記録された第二条第四項第一号に係る個人情報ファイル(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)を提供したときは、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第五十四条 前条に規定する者が、その業務に関して知り得た保有個人情報を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第五十五条 行政機関の職員がその職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書、図画又は電磁的記録を収集したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
公務員なみに厳しい罰則がかかるようですね。懲役刑もありますので、個人情報取扱事業者で個人データを取り扱う方は、細心の注意を払っていないと怖いですね。
理論的には冤罪ということもありえますので・・・・
【参考】
■個人情報保護法 自民党改正案 骨子まとまる 2005.05.05
■自民党 情報漏洩罪検討プロジェクトチーム 緊急提言まとめる 2005.04.16
■個人情報漏えいに罰則 今国会法案提出from自民党? 2005.03.17
■自民党が個人情報漏えい社員の罰則検討 2005.03.07
Comments
いつも興味深く拝見しております。
個人情報漏洩罪については、これを批判的に検討して反対する立場を表明した日弁連の意見書がありますので、参考にしていただければ幸いです。
http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/iken/05/2005_29.html
私自身も反対の立場から意見を述べています。参考にしていただければと思います。
http://beatniks.cocolog-nifty.com/cruising/2005/05/post_4071.html
Posted by: ビートニクス | 2005.05.19 03:13
ビートニクスさん、コメントありがとうございます。興味深いブログですね。大変参考になります。(といいながら、勝手にリンクを張りました・・・)。
保護法益の観点、個人情報保護法の第一条との関係も含めて良く考えないといけないのでしょうね。
Posted by: 丸山満彦 | 2005.05.20 03:32
コメントありがとうございました。リンクも張っていただき、感謝です。
やはり、今回の情報漏洩罪の提案は、個人情報保護という目的ではなく、企業の保護を意図している点に大きな問題があります。それを無理矢理、個人情報保護法の改正でやろうとする点に無理があるのだと思います。
今後ともよろしくお願いします。
Posted by: ビートニクス | 2005.05.21 09:23