認証ビジネス乱立? ネット懸賞広告の個人情報保護の認証制度
こんにちは、丸山満彦です。個人情報にまつわる認証制度がまた生まれるようですが・・・。これは認証ビジネスを主催する団体にうまみがあるからかも知れません。
■日経新聞 2005.05.21
・ ネット懸賞広告の個人情報保護、資生堂など10社が認証制度
●シール利用者の思惑例
・外部からは見えないプロセスの良し悪しを外部にアピールしたいので、シールのような見えるものがあれば分かりやすい
・シールさえついていれば、安心してくれる
●シール発行者の思惑例
・いったんシールを貼るとはがしにくく、毎年安定収入が得られる(NPOも営利業務をします)
・事故が起こるまでいい加減な認定をしていても外部者からは分からない
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●認証制度が乱立してくると、認証制度自体の信頼性が失われないかと個人的に危惧しています。
今回取り上げたこの制度が悪いと言うつもりはないのですが、認証制度が乱立し、その中に信頼がおけない認証制度があれば、まじめな認証制度自体の信頼が置けなくなりますね。
第三者制度の良し悪しを認定や格付けが必要となるかもしれませんね。
個人的に、認証制度の信頼性を確認する方法として思ったことです。網羅的でもありませんし、間違っているかもしれませんが、ご参考までに・・・
【認証制度の信頼性を確認する際のポイント】
①:法的に担保された制度か(たとえば、会計監査)
②:認証を行っている団体を認定する制度があるか(たとえば、ISOの枠組み)
③:認定団体・認証団体自体の経営・財務状況が開示されているか(議事録・財務諸表など)
④:認定団体・認証団体が財団・社団法人であるか(所管官庁による監督など)
⑤:認定団体・認証団体がNPO・任意団体の場合、事務局長・推進役のプロフィール等が公表されているか・信頼できるか
⑥:認定団体・認証団体がNPO・任意団体の場合、理事・監事のプロフィール等が公表されているか・信頼できるか
⑤⑥で定性的なので、内容を確認してください。
特にNPOの場合は、非営利とか内閣府認証ということをアピールしている団体がありますが、かえってうさんくささを倍増させてしまう場合もありますね。一般的にこういう点を過度に強調している団体は、何かおかしいと私は思っています(過去の会計監査などの経験から・・・)。
⑤⑥は意外なポイントかもしれませんが重要だと思っています。
NPOや任意団体の場合、お飾りの会長を立てて実質的な権力を事務局が握ることができてしまうのです(私も、NPOや任意団体の理事、幹事、監事をしているので分かりますが・・・)。NPOのコーポレートガバナンスは株式会社よりずっと難しいです。
なので、そもそも事務局長が(信頼できる団体の)信頼できる人なのか?ということを確認することが重要となります。それを判断するための情報が開示されていないと困りますね。
事務局長が理事を兼ねているかもポイントとなるかもしれません。理事を兼かねていない事務局長は理事としての責任を回避していると見たほうがよいでしょう。
次に理事の構成が重要となります。有名な学者ばかりの理事では、特定の理事や事務局の暴走を止めることができません。経営を良く知らない学者は、「よきに計らえ」という感じで、無知による放置がおこるケースが高まります(もちろん学者のみに限らないのですが・・・)。
なので、声を上げられる理事がいるかを確認する必要があります。理事のほとんどが学者であれば一応危ないと考えたほうがよいと思います。(もっとも、良く確認すれば、問題ないという場合もあるので、理事の全員が学者=危ないというわけではないですよ。)
次に監事です。理事会の暴走を止めるのが監事の役割です。監事には、弁護士、会計士が入っているのが望ましいと思います。弁護士、会計士は団体の倫理規程等があり、違法な行為を行う、助長等をすると業務停止などの処分もありえます。なので、通常はいい加減な監事業務を行わないはずです。
思ったより長くなってしまいましたが・・・
●監査・認証制度が信頼できるのか?、監査・認証機関の責任は?監査・認証を受けた者の責任は?監査や認証結果を信頼した者の責任・権利は?ということを、利用者は真剣に考えるべきだと思います。
【参考】
■このブログ
・「結果の保証」と「プロセスの保証」
・監査・審査・格付けとは何かについて真剣に考えるべきでは?
このブログの中の意見は私見であり、所属・関係する組織の意見ではないことをご了承ください。
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