指宿先生のブログより AustLII(豪州)、時点的法令データベース開始
こんにちは、丸山満彦です。指宿先生のブログは海外の情報が多くて重宝しております。その指宿先生のブログから「AustLII(豪州)、時点的法令データベース開始」と言う話を見つけたので、私も早速試して見ました。
感想。これはイイ!!
これは、すごい。新旧対照表もでる。
例えば、New South Wales州の州法データベースで試してみよう。
Pをクリックし、個人情報保護関連の法律を選んで見ましょう。
・Privacy and Personal Information Protection Act 1998
・Privacy and Personal Information Protection Amendment (Prisoners) Act 2002
の二つがあることに気づきます。なので、1998年法が2002年に更新されたことがわかります。2002年法をみると、Section5の55の(4A)が追加されていることがわかります。なので、これがどのように反映されているかを確認します。
まず、”Privacy and Personal Information Protection Act 1998”を開いて見る(2005.04.14現在では、2005.04.01URLが開かれるようです。)と、右手にSelect dateがあります。右手にある「Working Date」の日付と同じ日付が入っていると思います。それを2002年以前の日付、例えば、2001年1月1日と入力してみます。「Working Date: 1 January 2001」と表示され、2001年1月1日現在の法令が示されます。
そして、Section5の"55 Review of conduct by Tribunal"をクリックします。すると、2002年法で変更されている部分が反映されていない状態、つまり4Aが反映されていない状態で表示されます。
そこで、[Current]のところをクリックします。すると、最新の55が表示され、4Aが表示されていることがわかります。
ブラウザーの戻る(<=)ボタンで前の画面に戻ります。
で、指宿先生も絶賛の、[Compare Later]をクリックします。すると、新旧対比表がでてきて変更点がわかります。例示では、新設の例ですが、もちろん、削除も同じように表示されます。
電子政府版の法令検索、自治体の条例等の検索も同じようになってほしいなぁ・・・
さらに希望する機能
①一時点の施行されている法令の全体像がわかるようにする。つまり、2000年4月1日の施行されている法令の状態で検索等ができる。
②未来の施行されている法令の全体像がわかるようにする。つまり2006年4月1日現在施行されている状態で法令検索等ができる。
無理ですか・・・。
このブログの中の意見は私見であり、所属・関係する組織の意見ではないことをご了承ください。
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Comments
丸山 様
おはようございます。
この技術は,SHIPプロジェクトでも研究していたもので,プロトタイプまで作成しましたが,予算不足で実用データベースまでは実装できませんでした。
概容は,下記で読むことができます。和田先生の論文がそれですが,故小松先生の論文も収録されています。
SHIPプロジェクト第3回シンポジウム概容
http://ship.mind.meiji.ac.jp/lib/sympo3rd.pdf
他方で,タスマニア州の立法システムを構築したSIM社のTimothy Arnold-Moore氏も同じようなことを考えていました。
来日した際の講演概容は下記に収録されています。
SHIPプロジェクト第5回シンポジウム概容
http://ship.mind.meiji.ac.jp/lib/sympo5-ar.pdf
更に,指宿先生は,以上の研究成果を踏まえ,衆議院の法制局に対して,ご指摘のようなシステムを構築すべきことを提言してきたと聞いています。
今回のAustLIIのシステム実装は,SHIPプロジェクトでは予算不足でできなかったことを実現してくれたわけで,プロトタイプではなく,実用システムとしての実装・運用可能性を証明したという意味では高く評価されるべきでしょう。
法は,固定的なものではなく,常に変動しています。判例もそれがなされた時点までの法を前提として形成されるものですので,未来永劫同じ意味を持つものではないです。
このような自明のことを法律学者が明確に認識できなかったのは,紙の六法全書しか存在しなかったからだと言い切ってよいと思います。
このような知見を踏まえて,SHIPプロジェクトでは,そもそも法情報のもつ公共性というものを直視した研究を実施しました。
その概容は下記で読むことができます。
SHIPプロジェクト研究成果
http://ship.mind.meiji.ac.jp/lib/index.html
Posted by: 夏井高人 | 2005.04.15 06:20
夏井先生、コメントありがとうございます。SHIPプロジェクトのシンポジウムに第5回から聴きにいっています。まぁ、それからですから、そんなにたいした知識もないわけですが・・・。
インターネット普及の大きな功績の一つは、公共情報へのアクセス容易性だと思います。法律、条令、判決文(まだまだですが・・・)、国会の審議、政府委員会等の議事録、報告書・・・、民主主義の前提となる情報へのアクセスが容易になりましたね。会計情報へのアクセスもEDINETや東証のデータベース等でよくなりました。
まぁ、電子署名等の付与、改ざん検知機能がついていなかったりするのですが、実社会では十分に機能していますね。
インターネットには脆弱な面があるのは事実ですが、無理に脆弱な部分でがんばろうとせずに、得意な分野でその利用を推進すればよいのではないでしょうかね。
これからインターネットのサーバ上にどんどん情報が蓄積されていくわけですから、その情報の検索性が重要となってくるのは明白です。法情報も同じですね。
最後に・・・、この分野での故小松先生の業績の大きさに今頃気づかされました。
Posted by: 丸山満彦 | 2005.04.15 10:47