車にはアクセルとブレーキがついている
こんにちは、丸山満彦です。突然、当たり前の話を持ち出して恐縮です。知り合いでオートバイレースをしている人がいます。バイクを改造してレース場まで運んで練習し、試合にもでています。なかなか本格的です。そのレース用のバイクですが、エンジンは市販のものをほとんどいじらずに、ブレーキを強化すると言っていました。
素人考えでは、さぞかしエンジンを強化して速く走れるようにチューニングするのかと思っていましたが、今のバイクは馬力も十分にあるので、エンジンを強化するよりもブレーキを強化するほうがトータル的にはタイムが伸びるのだそうです。
馬力を高めるとブレーキも強化しなければなりませんね。バランスが重要なのでしょうね。
新しいことを始める時はどうしても、前へ前へ進みたくなります。しかし、同時にブレーキが無ければ何かあった時に大事故になってしまいます。事故がおこりそうになってから、ブレーキを忘れていることに気づいても遅いですね。エンジンだけが強化されたバイクは単なる凶器となり、多くの人に迷惑をかけてしまいます。
技術の進歩は重要ですが、行き過ぎた行為が社会的に負の影響を与えないように最大限配慮することも同時に大切です。技術専門家は、前に前に進むのと同時に、止まれるようなブレーキの整備も考えなければなりませんね。もちろん、エンジンの専門家であれば、ブレーキの細かいことまでは知る必要は無いのでしょうが、ブレーキを強化する必要性をブレーキの専門家に知らせる必要がありますね。そして、ブレーキの専門家の意見も専門家としてきちんと尊重することも求められますね。
速く走るためにはエンジンだけでなく、ブレーキも強化しなければなりません。
もちろん、バイクのチューニングを最適にするための監督はその両者の意見を聞きながら最適な解を導き出すことが求められますね。
このブログの中の意見は私見であり、所属・関係する組織の意見ではないことをご了承ください。
Comments
エンジンとブレーキの話は、理屈と実務という感じですね。
ところが日本では実務ということをエンジニアリングの世界でもうまく伝達出来ないのです。
真実は分かりませんが、三菱ふそうの欠陥車騒動が正にこれではないか?と思うのです。
研究・開発で大きな進歩も社会に定着するためには莫大な時間が掛かり、それは莫大な手間が必要だということでもあります。
自動車で言えば、ブレーキ液という専用の液体がありますが、あれは基本的にえちれんくリコール系統です、つまりアルコール系。
なんで油(石油系)を使わないのか?となると、大昔にブレーキを液体で作動させるように計画した時には油に耐えるゴムが無かったからだろう、ということなっています。
今では油に変えても技術的には問題ないわけですが、社会的には併用するのは危険だということで、ブレーキ液はいまだに専用なのです。
こういう「実務的に実績がある」というのが日本では評価されないし、また表現力も無いですね。
どんな業界でも実務家の実務に基づいた社会に対するアピール、表現力の向上が非常に必要な時代なのだと思います。
保守派からの抵抗があるのはいつの時代も同じでしょうから、それをぶち破るだけの力で実務経験を表現することが必要なのでしょう。
Posted by: 酔うぞ | 2005.04.12 00:24
酔うぞさん、コメントありがとうございます。この問題は、いろいろな場面で考えることができるし、いろいろな場面で考えるべきるだと思いますね。
Posted by: 丸山満彦 | 2005.04.12 08:27