ドコモの個人情報漏えい事件で元従業員が逮捕された件と情報窃盗罪
こんにちは、丸山満彦です。ドコモから個人情報を盗んだ関連企業の従業員が「NTTドコモとドコモシステムズに緊急対策会議を開かせるなどして業務を妨害した疑い。」で逮捕したようです。こういう方法があったんだ・・・
■毎日新聞
・NTTドコモ顧客情報流出:業務妨害容疑で派遣社員を逮捕
私は法律の専門家ではないので、なんともいえないのですが、こういう方法で逮捕できるのであれば、個人情報保護法で個人窃盗に関して刑罰を規定しなくてもよいようにも思うのですが・・・どうなんでしょう。
■NTTドコモ
・本日(2005年4月21日)の報道についてのお詫び
このブログの中の意見は私見であり、所属・関係する組織の意見ではないことをご了承ください。
Comments
現行の刑法上、情報窃盗だけで、即、業務妨害罪が成立するとは考えにくいと思います(今回のドコモの件も、その後の一連の行為を含めた上で業務妨害行為と捉えられているようです)。また、業務妨害罪で保護される「業務」は、「職業その他社会生活上の地位に基づき継続して行う事務または事業」といった定義づけをされているので、例えば継続性がなければ業務性が否定されるなど、情報窃盗で生じる被害全般をカバーすることにはなり得ません。情報窃盗の犯罪化には慎重であるべきだとは思いますが、以上のような点は指摘できると思います。
Posted by: yjochi | 2005.04.25 16:52
落合先生、コメントありがとうございます。なるほどです。情報窃盗罪については、議案が公表された時に、様々な専門家がいろいろと議論し、国会で適正に承認されることを期待しましょう。
Posted by: 丸山満彦 | 2005.04.25 17:45
丸山 様
こんばんは。
この事件は,かなり特殊な事件だとは思いますが,個人情報だけにとらわれず,企業の機密情報の保護全体の枠組みの中で理解すべき事案であるとも思われます。
そして,企業の機密情報を無権限で第三者に提供する行為は,それだけで業務妨害行為となり得るし,そのような行為の客観的事実とその結果についての認識・認容があれば(少なくとも偽計による)業務妨害の故意としては十分なので,十分に有罪となし得るだろうと思います。
個人情報保護法が完全施行されたこともあってか,個人情報の流出という側面だけにとらわれて考えがちですが,業務妨害罪の保護法益はまさに当該業務の遂行主体にとっての利益であり,個人情報の本人の利益ではないので,この点を間違わないようにしたいものですね。
Posted by: 夏井高人 | 2005.04.25 23:24
夏井先生、コメントありがとうございます。そうですね、保護法益の主体が違いますね・・・。根本的な部分でした。また、納得。
落合先生、夏井先生のコメントで違いがわかりました。ありがとうございます。
Posted by: 丸山満彦 | 2005.04.26 05:36