高額納税者リスト
こんにちは、丸山満彦です。テレビをみていたら、卒業アルバムのだましとろうとする怪しげな人の会話の録音テープのニュースをしていました。卒業アルバムをとるというより、預けてコピーをとろうという魂胆なのかも知れません。このニュースでキャスターの方が高額納税者リストが高い金額で売買されているのも問題であると発言していました。確かに高額納税者リストは、まっとうな商売をしようとしている人だけでなく、詐欺、泥棒にとっても魅力的なアイテムですね。
ところで、所得税法には次のような規定があります。
■所得税法
(申告書の公示)
第二百三十三条 税務署長は、その年分の確定申告書又は当該申告書に係る修正申告書に記載された第百二十条第一項第三号(確定所得申告に係る所得税額)(第百六十六条(非居住者に対する準用)において準用する場合を含む。)に掲げる所得税の額(第九十五条(外国税額控除)の規定を適用しないで計算した場合の同号に掲げる所得税の額とし、修正申告書については、その申告後の当該所得税の額とする。以下この条において同じ。)が千万円を超える者について、財務省令で定めるところにより、その者の氏名及び住所(国内に住所がない場合には、居所)、これらの申告書に記載された当該所得税の額を公示しなければならない。
■所得税法施行規則
(申告書の公示の方法)
第百六条 法第二百三十三条 (申告書の公示)の規定に該当する者の納税地の所轄税務署長は、その者の氏名及び住所(国内に住所がない場合には、居所)、同条 に規定するその年分の確定申告書(同条 に規定する当該申告書に係る修正申告書の提出があつた場合には当該修正申告書とし、その年の翌年三月三十一日までに提出されたものに限る。)に記載された同条 に規定する所得税の額(当該所得税の額に千円未満の端数があるときは、これを切り捨てた後の金額とする。)をその年の翌年五月十六日から同月三十一日までの間、当該税務署の掲示場その他当該税務署内の公衆の見やすい場所に掲示する方法により公示しなければならない。
つまりは、1000万円を超える納税者は、氏名、住所、所得税額を税務署の掲示場等の公衆が見やすいところに掲示されてしまうことになります。
このような公示制度についての見直しは、すでにあちこちでいわれているようですね。
そもそもこの公示制度は昭和22年にできた「申告書等の閲覧制度」を引きつぎ昭和25年に導入されたもので、その目的は、過少申告者、無申告者に対する第三者による監視という牽制的効果を期待したものです。その後、昭和58年に制度改正が行われ、所得金額の公示はなくなり、公示する者も所得税額1000万円超ということになりました。当時は、政治家がほとんど公示されなくなったという話題もあったようです。
現代においては、目的外利用のほうがもっぱらでしょうね。
また、この制度があるにも関わらず所得税も法人税も脱税が増えているようですから、公示制度の見直しが早急に必要かもしれません。納税者番号を導入すれば、かなりの脱税が防げると思うのですが、反対がおおいでしょうね・・・
プライバシーの保護と脱税の防止のバランスを図るのは難しいようですね。
このブログの中の意見は私見であり、所属する組織の意見ではないことをご了承ください。
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