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2004.12.25

個人情報保護法 頭の体操5

 こんにちは、丸山です。今回は開示請求などを中心に・・・です。

 
【事例1】 当社は宝石の通販を行っています。先日、得意先の奥様から電話がありました。「主人宛に宝石の案内が来るが、今まで何を買っているのかを教えてほしい。主人から、『お前が聴いてもよい』といわれている」と電話口で言ったということです。とりあえずその場は、「本人さまのご意思が確認できないのでお答えできません。」と言って何とかしのいだのですが、個人情報保護法の全面施行により、保有個人データの開示があった場合、開示手続きを定めていなければ、このように「主人から承諾を得ている」といわれた場合は、開示しなければならないのでしょうか?

【事例2】 当社の一部の従業員が、「個人情報保護法の全面施行後、会社が持っている自分に関する情報をすべて開示させるてやる」と言っています。当社は、従業員の評価情報もデータベース化していて、勤務態度など、上司が自由に書いたコメントもデータベースに入力されています。そういう情報もやっぱり開示しなければならないのでしょうか。

【事例3】 当社には近所の内科の先生を嘱託の産業医としてお願いしています。産業医は週に1日来ており、診察室には従業員の診療記録があります。この情報は、会社の情報なのでしょうか、それとも産業医の情報なのでしょうか?従業員から開示請求された場合に、開示対象となるのでしょうか?


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このブログの中の意見は私見であり、所属する組織の意見ではないことをご了承ください。
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Comments

丸山 様

こんにちは。

今回の頭の体操もおもしろいですね。

内容的には,どれも法律学の基礎全般をきちんと習得し,その応用能力を有しているまともな法律家にとっては容易に解答を出せる標準的な論点を含むものばかりです。しかし,法律家ではない一般の方にとっては,まるでラビリンスのようなナゾナゾかもしれないです。

おそらく,弁護士ずらりと並ぶTV番組でも同じような問題を答えさせるものが制作され放送されたりするだろうと予測します(番組制作会社には問題を考える能力がないので,このblogのような法律系blogを漁ったりしているようです。)。でも,たぶん,間違いだらけの解答になる可能性はあります(苦笑)。
実は,その手の某TV番組について,番組内容が余りにも不正確で誤解を招くものであったので何度も苦情のメールを出したことがあります。しかし,なしのつぶてでした。困ったものです。弁護士として求められる標準的なレベル以上の法律解釈論を展開できるtrustworthyな弁護士もどんどん育成しないと駄目ですね。

ちなみに,本人確認のところは重要な指摘ですね。もし本人確認(代理の場合には代理権の証明)をきちんとやらないで安易に開示してしまうと,本人以外の第三者に対して違法に保有個人データを開示してしまうことになるので,個人情報の管理という意味でも,また,違法な第三者移転という意味でも,開示行為が違法であるとして問題視される危険性はありますね。
つまり,本人確認法が適用される金融機関等ではない個人情報取扱事業者であっても,本人確認のための標準的なテンプレートのようなものを予めこさえておかないといけないということになりそうです。
これは結構やっかいなことです。
そして,ここでもまた,証明のプロセスというものに対する理解が重要になってきますので,forensicsfriendlyな対応というものを考えておかないとコンプライアンスを実現できないということになるんじゃないでしょうか?

Posted by: 夏井高人 | 2004.12.25 at 08:42

夏井先生。コメントありがとうございます。頭の体操ですが、実務で受けた質問をベースに、多くの企業に当てはまるように一般化しています。

 企業で各論の対応が進むにつれて、様々な論点が出てきているようです。個人情報保護法といえば「情報セキュリティ」、「漏えい」というタイトルのセミナーが開催されていますが(そしてそこで私も話をしているわけですが・・・)、個人情報保護法はセキュリティや漏えいだけの問題ではないこと、そして、本人の権利利益の侵害を実際にすれば、今でも民法上の問題となるという意味もこめて頭の体操を続けています。今回は、開示請求の話です。代理人の件ですが、基本的な内容です。もう少し考える必要がある論点もあります。今日、ある会社でミーティングあったのですが、共同利用と第三者提供について面白い論点がありました。そのうち紹介します。

 頭の体操の回答は?と質問されたのですが、それは皆さんの会社に弁護士やコンサルタントがいるはずなので質問してください。今回の問題は特に夏井先生のご指摘通り
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内容的には,どれも法律学の基礎全般をきちんと習得し,その応用能力を有しているまともな法律家にとっては容易に解答を出せる標準的な論点を含むものばかりです。
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Posted by: 丸山満彦 | 2004.12.25 at 16:18

丸山 様

夏井です。

共同利用については,難問ばかりですね。

個人情報保護法だけでは問題を解くことができず,民法上の「準共有」の概念を借りたり,民法上の組合契約の枠組みを借りたりして解釈しないといけないのですが,難しい。特に,外部関係と内部関係とを分けて解釈論を構成しないとぜんぜん駄目なんですが,法律家ではない一般の方にきちんと理解していただき,かつ,正しいプロシージャを構築していただくことはほとんど不可能だとあきらめています。

というわけで,共同利用にしたいという相談を受けたときは,単なる(全部的または部分的な)第三者提供の集合体のようなスキームで解決することを勧めています。実際には,このほうが簡明なプロシージャを構築することができるように思います。

ちなみに,巷の関連本では,共同利用に関して,民法上の扱いを無視した不適切な解説を記載したものが散見されるようです。
いわゆる個人情報保護法本も「淘汰の時代」がすぐに来ますね。

Posted by: 夏井高人 | 2004.12.25 at 17:25

夏井先生。予告編ありがとうございます。特に別れ際が難しかったりしますね・・・

Posted by: 丸山満彦 | 2004.12.25 at 19:47

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